ワインの保存方法について
ワインを購入したとき、気になるのが保存の方法です。どうすればワインを良い状態で保存することができるのでしょうか。また、飲み残してしまったワインについても気になるもの。今回はワインの保存の方法についてご紹介します。
- 目次
01ワインの基本的な保存方法
1-1保管中もワインの風味は変わりつづける
通常の食品の場合、未開封の状態で賞味期限内であれば、味も風味も変わらないもの。しかしワインだけは違います。ワインは未開封の状態であっても、常に熟成が進んでいます。
これがワインが生き物であるという理由。
もし不適切な環境で保存してしまうと、ワインの味はすぐに損なわれてしまいます。そのため、適切な環境や温度で保存することがワインにとって必要になります。
1-2基本的な保管環境
ワインを適切に保存するためには、いくつかの条件があります。
まず大切なのが温度。温度が高い場合、熟成が進みすぎてしまいます。そのため、涼しい場所で保存するのが基本。目安となるのは、13~15℃前後の温度。この温度であれば、ワインの熟成が進みすぎることなく、適度な熟成を行うことができます。
次にワインを保存する上で重要になるのが湿度です。瓶に入ったワインと湿度は関係あるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は湿度が重要になるのはワインのコルクと関係があります。
もし乾燥している状況では、コルクが劣化、いざワインを飲もうとしたとき、乾燥したコルクが割れてしまうことがあります。
また、ワインは瓶の中で熟成を続けていますが、そのときにコルクを通して適度な呼吸を行っています。
コルクを弾力がある状態に保つためには、70~80%の湿度が最適とされています。特に冬は温度が低いために油断してしまいがちですが、どうしても乾燥しがちなので、注意が必要です。また、ワインはコルクを通して外のにおいを吸収してしまうこともあるため、そばに香りの強いものを置かないようにしましょう。
また、ワインを劣化させるには光も関係があります。実はワインは光が苦手で、光を当てるだけで劣化が進んでしまいます。
直射日光だけでなく、蛍光灯などの光でも劣化が進んでしまうため、できるだけ光の当たらない場所に保管するのがよいでしょう。
光と同様、ワインは振動も苦手です。振動を与えると、ワインの中で化学反応が促進されて品質が変わってしまうことがあります。
特に注意したいのが冷蔵庫のドアポケット。冷蔵庫は温度が低いから安心だろうと思いがちですが、ドアポケットに入れていると、開閉のたびに強い振動が与えられることになります。
1-3自宅で保管する場合のおすすめ場所
それでは、自宅でワインを保管する場合、どのような場所に保存するのがよいのでしょうか。
まずおすすめは、床下の保存場所。床下は温度も低く、湿度も一定なのでワインの保存には向いています。
また、押し入れに保存するという方法もありますが、この場合は日当たりに注意。もし日当たりの良い部屋の場合、押し入れの中の温度が高くなりすぎることがあります。
なお、床下や押し入れに保存する場合、新聞紙を巻いて光を遮り、さらに発泡スチロールの箱に入れて温度の変化を起こりにくくしておくとよいでしょう。
02ワインの保存期間
2-1基本的にワインには消費期限が存在しない
ワインには基本的には賞味期限や消費期限というものは存在しません。
というのも、すでに説明したようにワインは瓶詰した後も熟成が進むもの。そのため、適切な状況で保存した場合には、より味わいに深みが増していきます。
ただし、適切ではない状態の場合、味わいが劣化することがあります。その場合は酸化している、飲み時のピークを越えたといった言葉で表現されます。
2-2未開封のワインの目安期限
家庭ではなかなか長期保存は難しいもの。では未開封のワインはどの程度の期間を目安に飲み切ればよいのでしょうか。
もしコンビニ、スーパーなどの安価なテーブルワインの場合、すでに適切な状態で販売されていることが多く、購入したらできるだけ早く飲むのがおすすめ。
また、ワインの中には熟成に向いている品種や向いていない品種があります。
もし熟成に向いていないものの場合、赤ワインであれば2~3年以内、白ワインであれば1~2年以内に飲み切りましょう。旬のワインであるボジョレー・ヌーヴォーの場合、1年以内が目安になります。
逆に熟成に向いたワインの場合、しっかりと熟成させることで風味や味わいがアップします。
03飲み残したワインは?
3-1一度開封したワインは酸化する
すでに説明したように、ワインには賞味期限や消費期限はありません。しかし、それはあくまでも未開封の場合。一度開封してしまうと、ワインは空気に触れる面積が大きくなって、一気に酸化が進んでしまいます。
酸化が進むと、ワインの香りは揮発して失われてしまい、味も酸っぱくなってしまいます。
そのため、一度開封したワインはできるだけ早く飲んでしまうのがよいでしょう。
たとえば、軽めの白ワインの場合、1~2日、赤ワインでは3~5日が目安。高級な白ワインでは2~3日、高級なワインの場合でも一週間程度で飲み切りましょう。
なお、ワインの残りが少なければ少ないほど、ボトルの中の空気が増えるため酸化が進みやすいもの。
ボトルの中の残りが半分以下になると、さらに酸化の速度は速くなります。
ただし、高級な赤ワインや白ワインの場合、あえて酸素に触れさせて酸化を起こし、口当たりをよくする「デキャンタージュ」という方法もありますが、それは一時的なものなので、一度栓を開けたらできるだけ早く飲み切るのがよいでしょう。
3-2飲み残したワインの保存方法
抜栓したワインは早く飲み切るに越したことはありませんが、飲める量には限りがあります。どうしても飲み残したワインを保存したい場合、どうすればよいのでしょうか。
飲み残しのワインを保管するには、いかに酸化を防ぐかが重要。つまり、酸素に触れる機会を減らすことが必要になります。
そのときに役立つのが真空容器。市販されている真空容器にワインを移し替えることで、空気に触れる機会を極力減らしてワインの劣化を防ぐことができます。
また、飲む量が少ないことが分かっている場合には、抜栓したらすぐに真空容器か、小さな瓶に移し替えて保存すると酸化を最小限に抑えることができます。
それが面倒な場合、真空ポンプを使うのも便利な方法です。真空ポンプはワインボトルの口にセットして、ボトルの中の空気を吸いだす装置。手軽に使えて、ボトルごと保存できるため、酸化を遅らせたいときに役立ちます。
どうしても酸化させたくない場合、窒素ガスを使用する方法もあります。窒素ガスをボトルに注入することで、ワインが空気に触れるのを防ぐことができます。真空ポンプに比べてより空気を遮断できるだけでなく、価格もボンベで数千円程度なので、高級ワインを長持ちさせたいときにはおすすめです。
04まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
1999年 当時日本で最年少で社団法人日本ソムリエ協会ソムリエ資格を取得。
2002年 C.I.V.C日本シャンパーニュ委員会デュプロム取得 No.235
2005年 札幌大通り公園で毎年5月に開催されるさっぽろライラック祭り内で、7丁目に北海道のワインと食のイベント「ワインガーデン」を自らプロデュースし立ち上げる。
(総合プロデュースは2005年〜2009年)
2011年FBO唎酒師呼称資格認定
2012年 社団法人日本ソムリエ協会シニアソムリエ資格取得
2015年 シャンパーニュ騎士団ショバリエ叙任
(フランス、ルイ14世時代から続く歴史的、由緒正しき伝統ある騎士団)
2016年 フランスシャンパーニュ地方「ニコラフィアット社」公式アンバサダー任命 (世界初のニコラフィアットアンバサダーに任命)※15年連続フランス国内生産量No.1
2017年豆腐マイスター、おから味噌インストラクターライセンス取得
2018年 シャンパーニュ騎士団オフィシエ叙任
2019年から現在、料理屋botanの専属シニアソムリエール
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