キッシュとタルトの違いとは?
女性の中にはキッシュやタルトが大好きという人も多いかもしれません。でも考えてみればこれらふたつの違いはどこにあるのでしょうか。今回はキッシュとタルトの違いや共通点、作り方などについてご紹介します。
- 目次
01キッシュとは?
1-1フランスのアルザス・ロレーヌ地方で生まれた家庭料理
キッシュが生まれたのは、フランスの東北部であるアルザス・ロレーヌ地方。十六世紀ごろ、生クリームや卵を使った家庭料理としてキッシュは誕生しました。
そのため、フランスでは単に「キッシュ」と呼ぶだけでなく、「ロレーヌ地方の郷土料理」という意味を込めて「キッシュロレーヌ」と呼ばれることもあります。
1-2ドイツ語のケーキを意味する「クーヘン(kuchen)」が語源
日本では「キッシュ」という名前が一般的ですが、ロレーヌ地方では「キューシュ」と発音されています。
この「キッシュや「キューシュ」の語源となったのがドイツ語。ドイツ語でケーキを意味する「クーヘン」が語源と言われています。
フランスの料理なのになぜドイツ語が語源なの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これはアルザス・ロレーヌ地方の場所が関係しています。
アルザス・ロレーヌ地方はフランスの北東部で、ドイツに隣接した地方。そのため、フランス語だけでなくドイツ語の影響を受けています。
その「クーヘン」がロレーヌ地方の「キューシュ」になり、それがフランス語の「キッシュ」になったというのが一般的な説です。
1-3洋風茶わん蒸しのようなイメージ
実はキッシュには特別な決まりはありません。土台に具材を入れて、つなぎとなるアパレイユ(卵と乳製品)を流し込んで加熱し、チーズで覆うというのが一般的ですが、具材にも野菜、魚、肉、ベーコンなど様々なものが用いられ、アパレイユにも卵と牛乳、卵と生クリームなど様々なバリエーションがあります。さらに、伝統的なキッシュロレーヌのレシピでは、チーズも使われないことも。
また、キッシュの土台といえばタルト生地というのが日本人のイメージですが、そもそもはどっしりとしたパン生地で作られていました。また、タルト生地ではなく、パイ生地を使った軽く食べられる種類もあり、一口にキッシュといっても、いろいろな種類や具材で楽しむことができます。
卵液を土台に入れて加熱するというイメージから、日本では「洋風の茶碗蒸し」というと分かりやすいかもしれません。
02キッシュとタルトの生地の共通点
特に共通しているのが生地。キッシュで使用される生地には様々なものがありますが、もっとも多く使われるのがタルト生地。さらにタルト生地の中でも「パートブリゼ」と呼ばれる種類のものが使用されます。パートブリゼは水分が少なく固く焼き上げたタルト生地で、水分を吸いにくいという特徴があります。これは卵と牛乳、生クリームなどでアパレイユを作り流し込むキッシュには最適の生地。
また、タルトの中でも水分が多いフルーツやクリームなどを使用する場合、水分を吸い込んで生地がべちゃべちゃになってしまうのを防ぐためにも効果があります。
03キッシュとタルトの違い
3-1キッシュは惣菜・食事として食べられる要素が強い
キッシュとタルトの大きな違いは、食事かデザートかということ。すでに説明したように、キッシュはドイツ語の「クーヘン(ケーキ)」という言葉が語源となっていますが、このケーキはどちらかというと「おかずになるケーキ」を指しているもの。たとえばミートパイやポテトのパンケーキといった系統の食べ物ということができます。
また、伝統的なキッシュは特別な料理というよりも、普段の食事や節約の料理といった意味合いが強いもの。アパレイユには様々な食材が用いられますが、それもわざわざ用意するというよりも、残った食材や料理をさらに美味しく食べるための工夫だったとも言われています。
その影響もあり、キッシュで甘い食材が用いられることはほとんどありません。
3-2タルトは冷たいが、キッシュは温かいまま食べることが多い
キッシュとタルトの違いには食べるときの温度があります。一般的にタルトは冷たく、キッシュは温かい状態でいただくもの。
タルトの場合、使用されているフルーツやクリームは冷たい温度のほうが美味しく感じられるもの。
逆にキッシュの場合、ベーコンやチーズなどは冷めると脂が固まってしまい、美味しく感じることができません。
食材によってはキッシュもアツアツの状態ではなく、少し冷ましてから提供されることもありますが、冷蔵庫で完全に冷やしてしまうことはあまりありません。
3-3キッシュは食事、タルトはお菓子
このようにキッシュとタルトには色々な違いがありますが、一言で言えば「キッシュは食事、タルトはお菓子」ということができるでしょう。
最近では、キッシュの中でも甘い具材などを用いるものもありますが、それらはタルトと呼んだほうがふさわしいのかもしれません。
04キッシュの作り方
4-1キッシュ生地の材料
・薄力粉90グラム
・強力粉10グラム
・無塩バター50グラム
・卵1個
・牛乳20ミリリットル
・塩1グラム
・砂糖1グラム
まずキッシュのためのタルト生地を作ります。タルト生地には様々な種類がありますが、キッシュに向いているのは「パートブリゼ」と呼ばれるもの。
パートブリゼは硬めで水分の多いアパレイユでも生地が緩まず、また甘さが少ないため、他のタルト生地のように甘ったるい出来上がりになりません。
1. 最初に小麦粉を混ぜますが、このときに重要なのがよくふるってから混ぜるということ。小麦粉の中にダマが多いと失敗の原因になってしまいます。粉をふるって混ぜたら冷蔵庫に入れて冷やしておきましょう。
2. 次に卵と牛乳、塩、砂糖などを混ぜておきます。このとき、卵と牛乳、塩や砂糖などがしっかり溶けているかどうかに注意。すべての材料がきちんとまざったらこちらも冷蔵庫に入れて冷やしておきます。
3. バターは溶かさないように注意しましょう。柔らかくしておくか、冷凍庫に入れて固めておくと作業がしやすくなります。冷凍庫に入れて固めた場合には、できるだけ細かく刻み、冷やしておいた小麦粉の中に入れて木べらなどでかき混ぜます。このとき、木べらなどもあらかじめ冷やしておくのがよいでしょう。バターと小麦粉は粉っぽくなくなるまで混ぜることが必要ですが、途中で温度が上がらないように気を付けましょう。
4. バターと小麦粉が混ざったら、冷やしておいた卵液を加えます。生地が軽くまとまったら、ラップなどに包んで冷蔵庫で冷やします。少なくとも二時間程度、できれば半日から一晩冷蔵庫で寝かします。
5. 次に生地を型に敷いていきます。冷えた生地を軽くまとめ、型よりも一回り大きくなるように麺棒などで伸ばしていきます。このとき、型の隅々までしっかりと生地を伸ばすこと。その後、余分な部分をカットし、側面の生地を押して型のふちから少しだけ高くなるように成型、ラップなどで包んで乾燥を防いで冷蔵庫で冷やします。ここですぐにオーブンに入れてしまうと、生地が縮んでしまうため注意しましょう。
6. 生地を焼くときにはオーブンを180度に予熱します。オーブンは機種などによって温度が異なるだけでなく、開けたときに急激に温度が低下するため、しっかりと予熱をしておくことが重要です。また、生地を焼くときには底に穴をあけて、クッキングシートを乗せ、タルトストーンなどで重しをします。通常は二十分から三十分程度で完成ですが、使用する型や大きさによっても焼き上がりは異なるため、様子を見ながら適切な焼き上がりを見極めましょう。
7. 生地作りが面倒だという場合、市販されている冷凍のパイ生地を使用する方法もあります。冷凍パイ生地の場合、伸ばしてタルト生地に敷いて焼き上げれば簡単にキッシュを手作りすることができるためおすすめです。
4-2アパレイユの材料
・全卵1個
・卵黄2個
・牛乳80ミリリットル
・生クリーム100ミリリットル
・塩1.5グラム
・こしょう、ナツメグ適量
・グリエールチーズ100グラム
・ベーコン、好みの野菜など
1. ボウルに卵を入れて、よくかき混ぜます。その後、牛乳や生クリーム、塩、こしょう、ナツメグなどを入れてよく混ぜます。このとき、牛乳の量を多めにすると軽い仕上がりに、生クリームの量を増やすとしっかりした濃厚な味わいを楽しむことができます。
2. ベーコンや好みの野菜などの具材の下ごしらえをします。ベーコンは軽く炒め、野菜は茹でて水を切っておきます。ほうれん草などを加えるときには茹でたあとにしっかり水を絞っておかないと、水っぽい仕上がりになります。下ごしらえのできた具材は粗熱をとっておきましょう。熱い状態で卵液に加えると、その部分だけ卵液が固まり焼きムラができることがあります。
3. 次にチーズと具材を卵液に入れて混ぜ合わせます。すでに説明したように、キッシュには決まりはありません。好みの具材を合わせて楽しみましょう。
4. アパレイユをタルト生地に入れて、200度に予熱したオーブンで20分程度加熱すれば完成です。
05まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
現在も独学で学び続け、種類豊富なお菓子作りやオリジナルレシピの考案も実践中。
食べてみたいという方に手作りお菓子を届ける<お菓子便>も行っています。