パン作りにおすすめの小麦粉の種類とは?
美味しいパンを作るために重要となるのが小麦粉の選び方です。でも、種類がありすぎてどれを選んでいいのか分からないということも多いもの。今回はパン作りにおすすめの小麦粉の種類や、小麦粉選びのポイントについてご紹介します。
- 目次
01小麦粉の種類と特徴
1-1小麦粉はたんぱく質の量で分類わけされる
普段から料理をしている方の中には、小麦粉といえば薄力粉を思い浮かべる人も多いかもしれません。薄力粉は天ぷらやフライの衣、クッキーやケーキなどに使われる小麦粉です。
一方、パン作りに使われることが多いのは強力粉や中力粉。では、この薄力粉、中力粉、強力粉はそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。
薄力粉、中力粉、強力粉はすべて小麦を挽いて作った粉であることに変わりはありません。
その違いは、含まれているたんぱく質の違いです。
1-2少ない順から薄力粉、準強力粉(中力粉)、強力粉
小麦粉にはそれぞれたんぱく質が含まれていますが、このたんぱく質の含有量には違いがあります。もっともたんぱく質を含んでいるのが強力粉、次に多いのが準強力粉(中力粉)、もっとも少ないのが薄力粉ということになります。
一般的に、含まれているたんぱく質が11.5~13.5%の場合には強力粉、8.0~12.0%の場合には中力粉、6.5~8.5%の場合は薄力粉とされています。
1-3たんぱく質が少ないとハードに、多いとソフトになる
では、たんぱく質の量はパンを作ったときにどんな違いとなって現れるのでしょうか。
一言で言えば、たんぱく質の違いはパンの固さに現れます。たんぱく質の少ない小麦粉を作った場合はハードなパンに、たんぱく質の多い小麦粉を作った場合はソフトな仕上がりになります。
この固さの違いを調節ことがパン作りにおいては非常に重要になります。
02たんぱく質と灰分
2-1たんぱく質は粘りのあるグルテンを形成する
それでは、なぜたんぱく質はパン作りで重要なのでしょうか。
パンを作るときには、小麦粉と水を合わせてパン生地を作っていきますが、小麦粉は水と合わさると「グルテン」という成分を形成します。
パン生地は発酵のときに炭酸ガスを発生しますが、グルテンは非常に粘り気の強い成分で、この炭酸ガスを内部に閉じ込める働きがあります。
さらに、パン生地をこねるときにグルテンは網目状の組織になり、取り込まれた空気を逃さないようにしっかりとキープしてくれます。
つまり、強いグルテンを持っている生地は炭酸ガスや外から取り込まれた空気を抱き込みやすいということになります。
そのため、グルテンの多い小麦粉を使えば使うほど、出来上がったパン生地は空気をしっかりと含み、ふっくらとやわらかく焼きあがるということになります。
2-2灰分が多いほど栄養も多い
パン作りにおいて、グルテンと同様に重要な役割を果たすのが「灰分」です。灰分とは、小麦粉が持っているマグネシウムや鉄分などのミネラルのことを指しています。小麦粉はお米などと同じように、外側に固い殻を持っていて、製粉のときにはこの殻を外して粉に挽いていきます。
しかし、灰分がもっとも多く含まれているのは、小麦粉の外皮や胚芽といった外側の殻の部分。
そのため、灰分を多く含んだ小麦粉は色が茶色っぽくなり、逆に少ないと色が白くなります。
また、灰分が多い場合、パンは小麦粉の風味がしっかり感じられるものになり、少ない場合は小麦の風味の少ない、軽い口当たりとなります。
03パンにおすすめの強力粉
3-1強力粉はパンのふっくら感、もちもち感をつくる
すでに説明したように、パン作りには小麦粉がグルテンを豊富に含んでいることが重要です。そのグルテンの原料となるのがたんぱく質。
つまり、パン作りにはたんぱく質をしっかり含んだ強力粉が適しているということになります。
強力粉を使用すると、パンに空気を含んだふっくら感ともちもちした食感が生まれます。
3-2お菓子作りにはさっくり仕上がる薄力粉
逆にお菓子作りに適しているのは、あまりグルテンを含んでいない薄力粉です。薄力粉はクッキーなどに使われますが、クッキーに重要なのはもっちりした食感ではさくさくした歯ざわり。そのさくさく感を生み出すのが、たんぱく質の含有量が少ない薄力粉ということになります。
04パンに合わせた選び方
4-1バゲット、デニッシュなどは中力粉
外側のハードな食感のバゲットや、サクサクした歯ざわりのデニッシュを作りたいという場合、おすすめは中力粉です。
これらのパンの場合、重要となるのが外はカリっと焼き上げ、中はソフトな食感を保つこと。
もし強力粉を使った場合、生地が空気を含んでいるため、どうしても柔らかくなり、外側もソフトでふっくらしたパンになってしまいます。
4-2食パンなどは強力粉
食パンの魅力はふっくらとした柔らかさですが、もしふわふわしたパンを作りたい場合には、強力粉がおすすめです。
強力粉はグルテンを豊富に含んでいるため、しっかりと空気や炭酸ガスを取り込んで、ふっくら柔らかい食感のパンを焼き上げることができます。
05外国産と国産の違いと特徴
5-1外国産の小麦粉
パンの本場といえば、やはり海外。外国産の小麦粉は、パン作りの長い歴史を持っていることもあり、パン生地が膨らみやすく扱いやすいという特徴があります。
パン作りの初心者の頃は、どうしても生地が膨らんでくれれないこともありますが、外国産の小麦であれば、吸水性も高く簡単に膨らませることができます。
日本の場合、アメリカやカナダからの輸入小麦を使った小麦粉が中心になりますが、最近ではネットなどを通じてフランスやドイツなどの小麦も比較的簡単に入手できるようになりました。
ただし、日本産の小麦の場合、グルテンの質や量での分類が一般的ですが、海外産の小麦の場合には加工の方法や灰分の含有量によって分類されることもあるため、もし海外産の小麦を使用する場合には、表示にも注意することが必要です。
5-2国産
国産の小麦の特徴は、しっとりした食感。もちもちした噛み応えは日本人の口にもあうため、万人に向いたパンを作ることができます。
また、国産小麦は食の安全性が確率されているため、海外産は農薬などが不安という方にも最適です。
昔は日本産の小麦はパン作りには難しいと言われていましたが、品種改良などによって価格も手ごろになり、種類も増加しています。
ただし、まだまだ扱いが難しい面もあり、慣れや経験がない方や、家庭で楽しむためには不向きだと言えるかもしれません。
06まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
和裁士、一般事務職を経て調理師専門学校にて調理、パン、洋菓子、フードコーディネートを学ぶ。
その後、大手製パン会社のベーカリー部門に入職。
パン職人となる。
退職後、神奈川県茅ケ崎市の自宅工房にて、「3日目もふわふわパン」が焼けるようになるパン教室&販売shino'sパン工房を主宰。
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