米粉と小麦粉の違いと使い方について
最近、ますます人気が高まっている米粉のパン。米粉のパンはヘルシーなイメージがありますが、小麦粉のパンとはどのように違うのでしょうか。今回は米粉と小麦粉の違いや、使い方についてご紹介します。
- 目次
01米粉とは?
1-1原料
米粉とひとくちに言っても実は様々な種類があります。まず大きなものは原料の違い。お米には、通常のご飯に使われる「うるち米」と、おもちの原料になる「もち米」がありますが、米粉にもこのふたつの種類があります。
また、「米粉」というと、非常に新しい素材のように思われがちですが、実は米粉は私たちの食文化に根差した存在です。
「うるち米」が原料の米粉は「上新粉」、「もち米」が原料の米粉は「白玉粉」と呼ばれ、これまでも和菓子の分野でも使われてきた素材です。
1-2小麦粉よりも片栗粉に近い性質
米粉のパンに使われる米粉は、上新粉や白玉粉とは実は少しだけ異なった製法が用いられています。
というのも上新粉や白玉粉をそのままパンなどに使った場合、生地がべたついたりふくらみが足りないなどの問題があり、パンには不向きとされていました。
それを解決したのが製粉技術の向上です。従来の米粉よりも、さらに細かくお米を粉砕することで、パンのようにふっくらと焼き上げることが可能になりました。
そのため、米粉は小麦粉よりも片栗粉に近い性質を持っているといわれることもあります。
1-3小麦アレルギーでも食べられる
米粉の大きなメリットは、「小麦アレルギーの人でも食べられる」という点です。
小麦アレルギーは、小麦に対するアレルギーで、小麦を食べると湿疹や呼吸困難などを発症、最悪の場合、命にもかかわることがあります。この小麦アレルギーは乳幼児の三大アレルギー要因と言われ、非常に注意することが必要ですが、米粉を使ったパンの場合であれば、小麦アレルギーの症状があってもパンを口にすることができます。
02小麦粉とは?
2-1強力粉・中力粉・薄力粉
小麦粉は小麦を挽いて粉にしたものですが、その種類には強力粉、中力粉、薄力粉などがあります。ではこれらはどのように異なるのでしょうか。
この粉の種類の違いは、グルテンの量にあります。グルテンは水を加えて練ったときに生まれる弾力性や粘りのもととなるたんぱく質で、このグルテンが豊富に含まれているものが強力粉、少ないものが薄力粉と、その中間のものが中力粉と呼ばれます。
なお、グルテンが多い強力粉のほうが粘りや弾力が生まれるため、パン作りには向いています。
2-2米粉より安価
小麦をパンに使用するときのメリットは様々ですが、もっとも大きいのは価格や安いということ。一般的な米粉の場合、小麦粉と比べると約五倍以上の価格だと言われています。
これは小麦のほうが大量生産に向いていることや、加工が簡単なことが理由とされています。また、小麦粉は米粉に比べると一般的なスーパーなどでも手に入りやすいというメリットもあります。
03米粉と小麦粉の違い
3-1グルテンの違い
米粉と小麦粉の大きな違いは「グルテン」です。グルテンとは、すでに説明したように、パン生地の弾力や粘りのもととなるもの。
小麦粉の中には、グルテニンとグリアジンと呼ばれるたんぱく質が含まれていますが、これらに水が加わることで立体的な構造に変化します。さらにパン生地の中ではイースト菌などの酵母が発酵した際に生まれる炭酸ガスが発生します。この炭酸ガスをグルテンの膜がパン生地の中に閉じ込めます。
これがパンを焼き上げたとき、ふっくらふくらむ理由。
一方、米粉の場合、グルテニンもグリアジンも含まれていません。そのため、水を加えてこねてもグルテンは発生せず、もし酵母を加えて発酵させても、炭酸ガスはすぐに外に出ていってしまいます。
それを解決したのが「増粘多糖類」というもの。増粘多糖類はパン生地の粘りをアップさせるため、生地の中で発生した炭酸ガスを閉じ込めて、ふっくらとしたパンを焼き上げることにつながります。
3-2発酵時間
米粉と小麦粉の大きな違いはグルテン。それは発酵の時間にも関わります。
一般的な米粉パンの場合、小麦粉のパンと比べると発酵時間は短め。というのも、米粉にはグルテンの膜が生成されないため、長時間の発行を行うとガスが外に逃げてしまいます。
それに対して、小麦粉はグルテンを豊富に含んでいます。
そのため、一次発酵を行い、ガスを抜いて酵母を空気に触れさせてさらに二次発酵を促進させるといった製法が可能になります。
3-3ダイエット
体型に気を付けている人の場合、米粉と小麦粉のダイエットへの影響も気になるところ。
では、米粉と小麦粉では、どのようにダイエット効果が異なるのでしょうか。
米粉の特徴として挙げられるのが腹持ちの良さ。特に米粉の場合には、日本人の体質と合っていることや、小麦粉に比べると、ビタミンなどの様々な栄養素が含まれているというメリットがあります。
一方、小麦粉の場合、食べ過ぎると食欲を刺激するともいわれていますが、米粉に比べるとたんぱく質を豊富に含んでいるというメリットがあります。
また、米粉の場合、小麦粉に比べて油の吸収率が低いというのも逃せない点です。
04米粉の使い方
4-1米粉を使う時の心得
米粉は水などに溶いても小麦粉のようにダマになりにくいという特徴があります。また、水にとろみをつける作用もあるため、片栗粉のようにあんやスープにとろみをつける場合にも役立ちます。
また、米粉は乾燥しているときでも固まりにくいため、お菓子作りのような場合でも粉を振るう必要がありません。
味にもクセもないため、まずはこれまで小麦粉を使っていたものを少しずつ米粉に変えてみるという使い方がおすすめです。
4-2米粉を使う時の注意点
米粉を使うときには、小麦粉に比べると少し少な目に使用するというのがポイントです。
米粉は小麦粉よりも水を吸いやすいといった特徴があるため、揚げ物の衣に使う場合、小麦粉と同じように使用すると衣が固くなってしまいます。また、米粉はメーカーによって性質や特徴が若干異なることがあります。品質のばらつきなどもあるため、レシピ通りに作るだけでなく、自分で量や時間などを微調整することも必要です。
4-3米粉を使ったレシピ
米粉を料理に加えるときには、まずホワイトソースがおすすめです。米粉のホワイトソースは小麦粉よりもさっぱりとした味わいで、色も白く仕上がります。また、小麦粉よりもダマができにくいため、作業も簡単。
米粉のホワイトソースを作るときは、通常の小麦粉を米粉に置き換えるだけ。まず米粉を毎日の食事に加えてみたいときにはおすすめです。
また、天ぷらの衣などに米粉を使用する方法もよいでしょう。米粉は小麦粉に比べて油の吸収が少ないため、からっとした食感の天ぷらになります。
ただし、衣は薄めにすることを心がけましょう。
05まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
和裁士、一般事務職を経て調理師専門学校にて調理、パン、洋菓子、フードコーディネートを学ぶ。
その後、大手製パン会社のベーカリー部門に入職。
パン職人となる。
退職後、神奈川県茅ケ崎市の自宅工房にて、「3日目もふわふわパン」が焼けるようになるパン教室&販売shino'sパン工房を主宰。
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