どう違う?洋服の素材について
洋服を選ぶとき、色やデザイン以上に重要なのが素材です。洋服の素材について知ると、見た目がよくなるだけでなく、季節感や着心地をアップさせることにもつながります。今回は洋服の素材の種類や素材ごとの特徴についてご紹介します。
- 目次
01洋服の素材の基本知識
「天然繊維」「化学繊維」というと、どちらかというと天然繊維のほうがナチュラルでよいというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、それぞれにはメリットとデメリットがあり、これらの特徴を知ることで取扱いにも役立ちます。
また、水洗いをしたときに縮むかどうかや、しわになりやすいかどうか、静電気が起きやすいかどうかなどといった違いもあり、用途や目的によって使い分けれることもあります。
02繊維の種類
2-1天然繊維
天然繊維とは、自然の素材を原料に作られた繊維のことです。
天然繊維の中にも種類があり、植物性の植物繊維と、動物性の動物繊維の二種類に分けることができます。
植物繊維の代表的な存在が綿(コットン)や麻(リネン)です。
綿はシャツやニットなどに使われる素材で、衣料素材の中の約四割を占めると言われるほどおなじみの素材です。
肌ざわりが柔らかく、吸湿性もよいため、汗をしっかり吸ってくれます。そのため、下着などにも使用されることがあります。
洗濯が可能で、アイロンの熱にも強いため、家庭用の衣類の素材としては非常に便利なものですが、シワになりやすく、洗ったり、乾燥機に掛けたりした場合、縮むこともあります。
なお、綿の場合にはインドやエジプトなど産地によって繊維の太さや硬さに違いがあることもあり、最近では無農薬などの方法で栽培されたオーガニックコットンなども人気となっています。
一方、麻は通気性がよく涼しさを感じる素材で、春夏の衣料に多く使用されます。吸湿性もあるだけでなく、熱が伝わるのも発散するのも早いという特徴があり、汗をかく季節には最適です。特に、綿と比べると乾きやすく、丈夫なので洗濯もしやすいという便利な素材ですが、弾力性が少ないためシワになりやすいのが欠点。生産量も多くないため、どうしても高価になりやすいというデメリットもあります。
植物繊維に対して、動物の毛などを原料として作られた素材が動物繊維です。
動物繊維の中で、もっともよく使用されるのが羊の毛で作られたウールです。
ウールは軽くて暖かいため、冬物衣料などに多く用いられています。さらにウールの場合、吸湿性が高く、型崩れしにくい、しわになりにくいなど非常に扱いやすい素材ですが、水洗いした場合に縮みやすいという欠点もあります。
また、虫がつきやすい、日光や蛍光灯の光で変色しやすいといった特徴があります。
冬物の衣料素材の中で、特に高級な素材といえばカシミヤです。
カシミヤはカシミヤヤギの毛で作られた素材のことで、保湿・保温能力に優れているだけでなく、肌ざわりが柔らかいのが特徴。その他にも軽く、光沢があるため、「繊維の宝石」と呼ばれることもあります。
そのため、価格は非常に高価で、摩擦に弱く毛玉になりやすいため、取り扱いには注意が必要となります。
カシミヤと同様に高級品として知られているのがアルパカです。アルパカは動物園でも人気の動物ですが、その体毛を集めて作られます。
アルパカもカシミヤ同様、滑らかな肌触りが特徴の繊維素材ですが、カシミヤと比べると繊維が太いため、コートなどの素材としても活躍します。
動物素材としては、カシミヤやアルパカと同じくアンゴラも人気の素材です。アンゴラは「モヘヤ」と呼ばれることもあり、保温性と軽さが特徴。ウールに比べると三倍以上の温かさがあるとも言われ、こちらも冬物の高級素材によく用いられます。
吸湿性も高く、着心地のよい素材ですが、毛が抜けやすい、毛玉になりやすいといった欠点もあります。
動物素材の中で、ちょっと特殊な存在がシルクです。
シルクは蚕の繭から作られた素材で、光沢や柔らかい感触が特徴。シルクは昔から高級素材として珍重されてきましたが、光や水、摩擦などに弱いというデリケートな素材なので、取り扱いには注意する必要があります。
2-2化学繊維
化学繊維は、石油などを原料に化学的に合成して作られた繊維のことです。化学繊維には再生繊維と合成繊維の二種類があります。
再生繊維は植物のセルロースを取り出したり、ペットボトルを繊維状に再生したりして作られるもので、その代表的な存在がレーヨンです。
レーヨンは木材パルプが原料で、柔らかい肌ざわりが特徴。光沢があり、染色しやすいため、あざやかな色を楽しむこともできます。ただし、水にぬれると縮みやすくしわになりやすいデメリットもあります。
一方の合成繊維は、様々な原料を合成して作られたもので、ナイロンやポリエステル、アクリルなどがあります。
ナイロンは軽く弾力性があり、スポーツウェアなどに多く使われています。強度があり、水にも強い性質があります。
ポリエステルは綿に似た繊維ですが、綿とは異なり水で縮むこともなく、洗ってもしわになることもありません。そのため、綿と混紡で使われることも多い素材です。
アクリルはウールに似せて作られた繊維で、保温性に優れています。
これらの化学繊維は価格の面でも入手しやすく、手ごろな素材ですが、全般的に静電気が起きやすいという欠点があります。
03季節に合った洋服の素材
3-1一年間着られる素材…シルク、綿、レーヨン、ポリエステル
シルクや綿、レーヨン、ポリエステルといった素材は、吸湿性や保温性などバランスが良いため、一年を通じて着ることができる素材です。これらの素材はデザインによって季節を選ばず通年で使用できますが、それぞれの素材にあったケアを行うことが必要です。そのため、外出にはシルク、部屋で過ごすときには綿やポリエステルといった具合に、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
3-2吸湿性、放湿性のある夏素材
温度も湿度も高い夏には、吸湿性・放湿性に優れた素材が適しています。これらの特徴を兼ね備えた素材といえば、何と言っても麻がおすすめ。麻素材は光沢や高級感もあり、イメージも涼し気で、夏の素材の代表的な存在です。しかし、素肌に触れるとチクチクするといった欠点もあるため、同じように吸湿性・放湿性に優れたレーヨンやコットンなどを組み合わせると、暑い季節でも快適に過ごすことができます。
3-3保温性の高い秋冬素材
秋冬の素材に求められるものといえば、何と言っても保温性の高さです。保温性の高い素材にはウール、カシミヤなどがあり、見た目にも個性を演出することができるため、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。また、秋冬のファッションアイテムはある程度長持ちするため、少々値段が高いものを揃えて大切に使うのもおすすめです。
ただし、これらの素材はコートなどのアウターとしては重すぎる印象を与えるため、カジュアルで軽いイメージを求めるならフリースなどの化学繊維の素材もよいでしょう。
04まとめ
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