簿記資格は全3種類!
取得するメリットや取得方法・費用を解説!
「簿記資格は、会社で経理をやっている人だけが持っていればいい。」
そんな風に考えている人も、いるかもしれません。
しかし、簿記資格はさまざまな場面で役立つため、経理以外の職種の方でも取っておいて損はありません。
資格があることで、就職活動や大学入試で優遇されることもあります。
では、何級を持っていれば安心でしょうか?
ここでは1~3級まで、それぞれ取得すると身につく知識や、どのような時に活かせるのかご紹介します。
履歴書に書きたい方・大学入試に役立てたい方・キャリアアップしたい方など、それぞれ何級を持っておけばいいのかご紹介します。
また、取得するための学習方法や、かかる費用なども詳しく解説します。
ぜひ、簿記試験取得に役立ててください。
1. 簿記の資格は全部で3種類
簿記の資格は、全部で3種類あります。
ここでは、それぞれの難易度や特徴をご紹介します。
1-1日商簿記「日商簿記検定試験」
「日商簿記」は、日本商工会議所と各地商工会議所が主催する簿記の検定試験で、最も認知度がある公的試験です。
1954年から施行され、長い歴史があります。
申込の受付日時や方法は、商工会議所によって違います。
試験日の2ヶ月前ぐらいになったところで、受験希望地の商工会議所まで問い合わせてみましょう。
1級 | 2級 | 3級 | 簿記初級 (旧4級) |
原価計算初級 (2018年より開始) |
|
---|---|---|---|---|---|
受験資格 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
試験内容 |
・商業簿記 ・会計学 ・工業簿記 ・原価計算 |
・商業簿記 ・工業簿記 (原価計算を含む)5題以内 |
・商業簿記 (5題以内) |
・商業簿記 | ・原価計算 |
試験日 | 統一試験方式 年3回 |
統一試験方式 年3回 ネット試験方式 随時 |
統一試験方式 年3回 ネット試験方式 随時 |
随時 (試験施行機関による) |
随時 (試験施行機関による) |
試験会場 | 全国各地 | 全国各地およびネット試験 | 全国各地およびネット試験 | ネット試験 | ネット試験 |
合格基準 | 70%以上 1科目ごとの得点は40%以上 |
70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 |
合格率 (過去5回平均) |
10%程度 | 22%程度 | 50%程度 | 59.4% (2019年度) |
92.3% (2019年度) |
受験料 | 7,850円(税込) | 4,720円(税込) | 2,850円(税込) | 2,200円(税込) | 2,200円(税込) |
以前より、簿記初級・原価計算初級は、ネット試験が採用されていました。
2020年12月より、2・3級の試験方式にも、ネット試験が追加されました。
受験者は、従来の試験会場でペーパーに回答する「統一試験方式」と、「ネット試験」を自由に選択できます。
- ※ネット試験(CBT方式)とは…
-
試験会場:全国100か所の「テストセンター」で実施。
試験日:各テストセンターが定める日時。場所によっては、毎日試験を行う会場もあり。
試験方法:試験問題は受験者ごとに異なる。インターネットで試験問題が配信され、パソコン上で解答する。
結果発表:試験後自動採点。合格した場合、デジタル合格証が即日交付される。
ネット試験が行われることで、スピーディーな受験が可能になりました。
合格のチャンスが増え、試験を受けやすくなったと言えます。
社会人になってから簿記資格を取得するのであれば、迷わず「日商簿記」を受験しましょう。
また、学生時代に後述する「全商簿記」「全経簿記」の資格を取得した方も、「日商簿記」を取り直すと、企業からの評価も上がりやすくなります。
大学入試で優遇される場合もあるため、高校生でもチャンスがあれば取得しておくといいでしょう。
何も知識のないところから始めるのであれば3級から、経理の経験があり多少の知識があるようなら2級から、チャレンジしてもいいでしょう。
1-2全経簿記「簿記能力検定」
公益財団法人全国経理教育協会(http://www.zenkei.or.jp/)が主催するのが「簿記能力検定」です。
文部科学省後援の資格で、就職にも役立ちます。
経理専門学校の学生が受験する傾向があり、試験会場も全国の専門学校で行われます。
上級 | 1級 | 2級 | 3級 | 基礎 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
受験資格 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
試験内容 |
商業簿記・会計学 工業簿記・原価計算 |
「商業簿記・会計学」および「原価計算・工業簿記」 | 商業簿記 | 工業簿記 | 商業簿記 | 基礎簿記会計 |
試験日 | 年2回 | 年4回 | ||||
試験会場 | 協会指定の全国の専門学校 | |||||
合格基準 | 各科目40点以上かつ、合計280点以上 | 全科目70%以上 | 70%以上 | |||
合格率 (令和元年度平均) |
約16% | 商会:約41% 原工:約60% |
約50% | 約63% | 約63% | 約75% |
受験料 | 7,800円 | 各2,600円 (計5,200円) |
2,200円 | 2,200円 | 2,000円 | 1,600円 |
日商簿記より、難易度はやや低めです。
合格率も、比較的高い傾向があります。
上級に合格すれば、税理士試験の受験資格を得られます。
1-3全商簿記「簿記実務検定試験」
公益財団法人全国商業高等学校協会(http://www.zensho.or.jp/puf/index.html)が主催しているのが「簿記実務検定試験」です。
主に商業高校の学生を対象としていますが、高校生以外でも受験することはできます。
1級 (会計) |
1級 (原価計算) |
2級 | 3級 | |
---|---|---|---|---|
受験資格 | 制限なし | |||
試験内容 | 会計 | 原価計算 | 商業簿記 | 商業簿記 |
試験日 | 年2回 | |||
試験会場 | 協会指定の全国の試験場校 | |||
合格基準 | 70点以上 | 70点以上 | 70点以上 | 70点以上 |
合格率 (2019年) |
39% | 44% | 約42% | 約53% |
受験料 | 1,300円 | 1,300円 | 1,300円 | 1,300円 |
1級は会計・原価計算共に合格して、初めて1級合格となります。
高校の教科書に沿った問題が出され、3種類の試験の中でもっとも難易度は低めです。
1級合格を推薦入試の基準としている大学や短大もあるため、進学を考えている人は1級を目指すといいでしょう。
また、経理関連の職種に就職する場合は、2級以上を持っているのが望ましいです。
2. 簿記資格のメリット!仕事・就職に活用できること
簿記資格を持っていることで、さまざまなメリットがあります。
また、就職に有利になったり、仕事に役立てることも可能です。
ここでは、日商簿記それぞれの級位でできるようになることや、どのような場合に役立つかをご紹介します。
2-1日商簿記3級で仕事・就職に活用できること
日商簿記3級で身につくのは、商業簿記(商品の売買をする職種を対象にした簿記)の基本です。
日商簿記3級は、比較的合格率も高く、受験しやすい級位だといえます。
- 3級以上を取得するとできること
-
・履歴書の資格の欄に記載できる。
・事務職だけでなく営業や管理の仕事でも、役立つ知識が身につく。
- 3級以上を持っていると有利な人
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・就職活動中の人(営業・管理職)
・個人事業主などの確定申告が必要な人
確定申告では、ある程度簿記の知識が必要です。
そのため、基礎が学べる3級を持っていると、スムーズに確定申告ができるでしょう。
2-2日商簿記2級で仕事・就職に活用できること
簿記2級では、商業簿記とあわせて工業簿記(製造業を対象にした簿記)を学びます。
原価計算など計算を多くするようになり、商業簿記の内容をよく理解していなければできない内容です。
そのため、3級と比べて一歩踏み込んだ知識が身につきます。
- 2級以上を取得するとできること
- ・経理関係の仕事で役立つ知識が身につく。
- 2級以上を持っていると有利な人
-
・就職活動中の人(経理関係)
・大学受験をする予定の人
経理関係の職種を目指すなら、2級以上は持っていたいところです。
また、大学受験でも、AO入試などで資格があると優遇されることがあります。
それだけ3級と2級では、大きな差があるのです。
2-3日商簿記1級で仕事・就職に活用できること
さらに、2、3級とは一線を画しているのが1級です。
合格率も10%程度と非常に狭き門で、合格すると、かなり高度な知識が身についた証明になります。
- 1級以上を取得するとできること
-
・会社の経営に関して、分析や管理ができるようになる。
・税理士の受験資格が得られる。
- 1級以上を持っていると有利な人
- ・ファイナンシャルプランナー・税理士・公認会計士・中小企業診断士を目指す人
日商簿記1級は、簿記資格の中でも最高峰の資格といえます。
そのため、ファイナンシャルプランナー・税理士・公認会計士・中小企業診断士を目指す人は、まず簿記資格を取得する方が多いです。
1級に合格することで、仕事の幅がかなり広がるといえます。
3. 簿記資格取得方法とかかる費用
日商簿記に合格するためには、少なくとも、3級は100時間・2級は200時間・1級は1,000時間の勉強時間が必要とされています。
決して短期間で習得できるものではなく、その間モチベーションを保ち続けなければなりません。
3-1独学で簿記資格取得
日商簿記3級ぐらいまでなら、独学でも十分合格を狙えます。
参考書を購入するだけなので、費用もそれほど掛かりません。
できるだけ最新の問題集を購入し、現状の試験対策をするようにしましょう。
ただ、どんなに最新の問題集でも、独学の場合わからない箇所を避けてしまい、理解不足になる場合があります。
一人でもコツコツと努力できモチベーションを保ち続けられる方、身近に簿記資格を所有する人がいる方等に、おすすめの勉強法です。
- 独学でかかる費用相場
-
・参考書と過去問題集を1冊ずつ購入したとして、4,000円程度
(1級は2・3級と比べると若干高額になり、5,000円前後。)
独学の注意点:古本屋にも参考書や問題集が売っていることがありますが、内容に変更があったり法改正がある場合もあるため、避ける方が無難です。
3-2スクールに通って簿記資格取得
通学は独学と比べ、わからないところはすぐに教えてもらえるため、効率的に勉強できます。
時間に余裕があり、通学の時間が取れる方向きの取得方法です。
また、最近は通学せずに、ネット上のスクールもあります。
費用や内容などを確認して、自分にあった講座を選びましょう。
ただし、資格取得方法としては、スクールは最も高額になります。
確実に資格取得を目指したい方や、上級位を狙っている方におすすめです。
- 通学でかかる費用相場
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1級:平均170,000円(約127,000~250,000円)
2級:平均76,000円前後(66,000~95,000円)
3級:平均23,500円(15,000~46,000円)
通学の注意点:スクールは開校日が決まっているため、時期によってはすぐに入学できないことも。早めに下調べを行いましょう。
3-3通信教育で簿記資格取得
通学する必要がなく、いつでも自分の好きな時に学習を開始できるのが、通信教育です。
通信教育といってもテキストだけではなく、Webで受講できる教材やDVDを見ながら学習できる教材など、豊富な学習方法があります。
また、スクールが通信講座を開講している場合もあり、そういった講座はテキストの通信教育と比べても、やや高額になります。
- 通信教育でかかる費用相場
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1級:平均123,000円(約90,000~150,000円)
2級:平均37,000円(18,000~53,000円)
3級:平均17,000円(3,500~34,000円)
「諒設計アーキテクトラーニング」でも、簿記の通信講座を開講予定です。
簿記の知識がまったくない方でも、自分のペースでじっくりと学ぶことで、資格取得を狙います。
4. まとめ
簿記資格を取るなら、日商簿記がおすすめです。
日商簿記の上級位を取得することで、さまざまなメリットがあります。
入試や就職活動・転職などにも有利に働くため、持っていて損はない資格です。
「独学ではやっていけるか心配・・・かといって、通学するほどお金もかけたくない」という方は、ぜひ「諒設計アーキテクトラーニング」の通信教育を利用してみてはいかがでしょうか?