ベランダ菜園といえば!トマト/ミニトマトのベランダ栽培
ベランダ菜園の定番と言えばトマトです。トマトは育てる楽しみだけでなく、育てた野菜を収穫して新鮮な状態で楽しめるもの。初心者でも育てやすいため、最初に育てるための野菜としておすすめです。今回はベランダ菜園で育てるトマトについてご紹介します。
- 目次
- 1. ベランダ菜園でトマト/ミニトマトを育てる
- 2. 準備するもの
- 2-1. トマトの苗
- 2-2. 培養土
- 2-3. プランター
- 2-4. 鉢底ネット、鉢底石
- 2-5. 支柱、麻ひも
- 2-6. ミニスコップ、じょうろ、ハサミ
- 3. トマト/ミニトマト栽培の始め方
- 3-1. 土入れ
- 3-2. 植え付け
- 3-3. 支柱立て・誘引
- 3-4. たっぷり水やり
- 3-5. 置き場所
- 4. トマト/ミニトマトの育て方
- 4-1. 芽かき
- 4-2. 着果促進
- 4-3. 追肥
- 4-4. 摘心
- 4-5. 摘果(大玉トマトの場合)
- 5. 虫、病気、鳥の対策
- 5-1. 防虫対策
- 5-2. 病気対策
- 5-3. 防鳥対策
- 6. 収穫の仕方
- 6-1. 収穫のタイミング
- 6-2. 収穫方法
- 7. 片付け方
- 7-1. やり方
- 7-2. 注意点
- 8. 収穫したトマトの便利な保存方法
- 9. まとめ
01ベランダ菜園でトマト/ミニトマトを育てる
トマトには大玉、中玉、ミニトマトなどの種類があり、ミニトマトの中にも形や色、味などによって様々な種類があります。そのため、好みのものを選べるというのもトマトを育てるときの大きな魅力です。
また、そのままカットしてサラダとして、煮詰めてトマトソースやスープとしてなど、料理の使い勝手がよいのもトマトの魅力。特にとれたての新鮮なトマトは味も香りもバツグン。ベランダ菜園の楽しみをたっぷりと感じることができます。
もし初心者の場合には、それほど大きくならず、育てやすいミニトマトを選ぶとよいでしょう。
02準備するもの
2-1トマトの苗
トマトの栽培を始めるときにはまずトマトの苗を用意しますが、この苗を選ぶことが非常に大切です。いい苗を選ぶことができれば、トマトの栽培は半分以上成功したと言えるほど。
では、トマトの苗はどのようなものを選べばよいのでしょうか。
トマトの苗選びでまずチェックしたいのが葉。葉が厚く、明るい緑色をしているものを選びましょう。また、苗の段階ですでに虫に食われているものは避けたほうがよいでしょう。葉に穴が開いているものや虫がついているもの、黄色く変色しているものは虫の卵が隠れている可能性もあります。
また、茎はまっすぐで太く、節の間がしっかり詰まっているものがよいでしょう。茎が元気なのは根からしっかり栄養と水分を吸い上げている証し。もし茎が元気がないと、根が弱ったり傷ついている可能性もあります。
なお、すでに花が咲いているものやつぼみがついているものは栄養が不足していると避ける人もいますが、苗の段階で花が咲いているものはしっかりと実をつけてくれるいい苗です。
2-2培養土
野菜を育てるときには土の質も重要になります。トマトは多湿や乾燥に弱いため、しっかりと水はけのよい土を準備しておくことが必要です。
ただし、土づくりは初心者にとって難しいもの。そのため、野菜用の培養土を使うのが便利です。培養土はすでに複数の土がブレンドされているもの。肥料も混ぜ込まれているため、そのまま使用することができます。
2-3プランター
トマトは上にもよく伸びる野菜ですが、土の中でも根っこを長く伸ばしています。一般的な畑で育てた場合には、根の長さは2メートルを超えることも珍しくありません。プランターの場合には、畑ほど根っこが伸びることはありませんが、出来るだけ余裕があるとよいトマトを収穫できます。
そのため、プランターはできるだけ大きなものを準備するとよいでしょう。目安となるのは、鉢の場合には苗一株あたり直径30センチで深さ30センチ以上。長方形の場合には幅が25センチから30センチを目安にしましょう。
2-4鉢底ネット、鉢底石
トマトは水はけのよい土を好みます。そのため、鉢底ネットや鉢底石は欠かせません。鉢底ネットはプランターと一体型になっているものもあるため、どのようなプランターを使うかあらかじめ確認しておきましょう。
また、鉢底石は拾ってきた石や発泡スチロールなどで代用することもできますが、衛生面や扱いやすさなどを考えると、専用のものを購入して使用することをおすすめします。
2-5支柱、麻ひも
トマトは背が高く成長する植物です。そのため、支えとなる支柱と、支柱と茎を結ぶための麻ひもも必要になります。
支柱には様々なタイプがありますが、成長段階に合わせて長さが変えられるものが便利です。また、フェンスタイプの物や支柱同士が交差した形のものもあるため、ベランダのスペースなどと相談しながら決めるとよいでしょう。
支柱と茎を結ぶためには麻ひもが一般的ですが、ビニールタイプのものなどもあるため、こちらも好みと使いやすさで選ぶのがよいでしょう。
2-6ミニスコップ、じょうろ、ハサミ
トマトに限らずベランダ菜園でよく使われるのがミニスコップやじょうろ、ハサミなどの道具です。百円ショップなどでも販売されていますが、使い勝手を考えると多少値段が高くてもよいものを選ぶことをおすすめします。
03トマト/ミニトマト栽培の始め方
3-1土入れ
プランターに土を入れる土入れ。土入れを行う前には、底にネットを張って鉢底石を入れます。もし他の作物を育てたプランターを使いまわす場合、雑菌が繁殖していることがあります。病気を防ぐために、しっかりプランターを洗っておくとよいでしょう。
実際に土を入れるときには、水を入れたときに土が縁から流れないようにある程度の余裕を作っておきましょう。
3-2植え付け
土の準備ができたら、次に苗を入れていきます。まず苗にはしっかりと水をやっておくこと。少なくとも二時間前に水やりをしておくとよいでしょう。水やりを行うことで、新しい環境に苗が馴染みやすくなるだけでなく、苗をポットから取り出しやすくなります。
苗を取り出すときには、無理に引っ張ったり、根っこを傷つけないように注意しましょう。
苗をポットから取り出したら、プランターの中の苗を植える場所にくぼみを作り、その中に苗をおきましょう。
苗を置いたらその周囲に土を寄せて軽く押さえておきます。強く押しすぎると根が圧迫させてしまうので、あくまでも土の表面を整える程度がよいでしょう。
土を寄せたら、再びしっかりと水を与えます。
3-3支柱立て・誘引
植え付けの後に行うのは、苗のそばに支柱を立てること。トマトやミニトマトは上に伸びていく野菜ですが、茎がそれほど太くならないため、支柱を立てないと全体が傾いて、場合によっては倒れてしまいます。
そのため、支柱は必ず必要です。支柱を立てるときは、苗から10センチ程度離れた場所がよいでしょう。苗に近すぎると、根を傷つけてしまいます。
支柱を立てたら、次に誘引を行います。誘因とは、支柱と茎を結びつけること。
麻ひもを使うときは、あまり固く結ばないように注意しましょう。また、結ぶときには支柱側で結び目を作るようにしましょう。
3-4たっぷり水やり
苗を植え付けたあとは、毎日水やりを行います。水を与える場合は午前中がベストです。あまり暑い時間に水をやると、鉢の中の温度が上がりすぎて根が蒸れてしまいます。
また、夏が近づいて気温が上がると土が乾きやすくなります。その場合は水が切れないように注意しましょう。
なお、水をやるときは葉に水がかかったり、土が跳ね返って葉に付着しないように注意しましょう。葉に水や泥が当たると、そこから病気になってしまうことがあります。
3-5置き場所
トマトやミニトマトは日当たりの好む植物。そのため、プランターはベランダの中でも日当たりのよい場所を選ぶとよいでしょう。また、風通しも重要です。
逆にトマトは雨が苦手です。雨が当たらない場所だと良いでしょう。
04トマト/ミニトマトの育て方
4-1芽かき
トマトやミニトマトを育てるときに欠かせないのが「芽かき」です。芽かきは、葉の付け根から出て来るわき芽を取り除く作業。わき芽は放置しておくと養分を使ってしまうため、実を大きくするためにはわき芽を取り除く必要があります。
芽かきを行うのはトマトが根付いた五月から六月ごろ。
芽かきを行うときは、わき芽を指でつまみ、ひねることで簡単に芽を取り除くことができます。ただし、傷口から雑菌が入ることで病気になってしまうことがあるため、芽かきを行うときには手を洗って清潔な状態で行いましょう。
また、芽かきは一週間に一度程度行いましょう。ただし、トマトやミニトマトの品種によっては芽かきが必要ないものもあります。
4-2着果促進
着果促進とは、トマトの実ができるように受粉を行うこと。着果促進は花が咲いてきたときに行います。特に重要なのが最初に花がつく房。この房を受粉させることが美味しいトマトを実らせるためには重要です。
着果促進は、ホームセンターなどで購入できる着果促進剤を用いるのが便利です。ただし、使用しすぎると実の形が変わってしまうため、用法や用量をしっかり守りましょう。
あまり薬を使いたくないという人の場合には、指や筆などを使い人工的に受粉させるという方法もあります。
4-3追肥
美味しいトマトを実らせるために必要なのが肥料です。培養土を使用した場合、最初から土の中にある程度の肥料が入っていますが、育ち盛りのトマトはすぐに肥料を使い果たしてしまうため、ある程度成長したら「追肥」を与えることが重要です。
追肥は植え付けから二週間程度が目安。その後も二週間に一度追肥を行いましょう。もし液体肥料を使う場合には一週間に一度程度行うのがよいでしょう。
4-4摘心
トマトの背が高くなり、手が届かない高さになったら摘心を行います。摘心とは、トマトの茎の先端を切り取る作業。摘心を行うことでトマトの茎の高さを適度に抑えるだけでなく、トマトの栄養を茎から実に移すことができます。
4-5摘果(大玉トマトの場合)
ミニトマトではなく、大玉のトマトを育てている場合には摘果という作業も必要になります。摘果とは、成長の遅いトマトの実を取り除く作業。摘果を行うことで成長の早い大きな実をさらに美味しくすることができます。
05虫、病気、鳥の対策
5-1防虫対策
トマトにつきやすい虫といえばアブラムシ。アブラムシは葉を食い荒らすだけでなく、ほかの病原菌を媒介することがあります。病気の種類によっては株全体が枯れてしまうため、虫がつかないように予防することが重要です。
予防のためには農薬を使うのがおすすめですが、もしできるだけ農薬を使いたくないという場合、酢や唐辛子、水飴など天然の成分を配合されているものがよいでしょう。
5-2病気対策
トマトの病気には様々なものがありますが、中でも多いのが実の先端が変色する「尻腐れ症」や、タテの方向にスジが入る「スジ腐れ症」です。
原因は尻腐れ症の場合はカルシウム不足、スジ腐れ症の場合はカリウム不足です。これらは肥料不足によって補うことができます。
また、多湿の状況で起きるのがカビによる病気。この病気は湿度が高いと発生するため、風通しのよい環境を作ることが必要です。もし発症した場合には、実や葉を取り除いて、できるだけ日光に当てて消毒することが必要です。
5-3防鳥対策
トマトが大きくなってくると増えているのがカラスなどの鳥による被害。都会など普段は鳥を見かけない環境でも思いがけず発生することは多いので、防鳥ネットなどで被害を防止しましょう。
また、三角コーナーに使うネットなどを実にかける方法もあります。
06収穫の仕方
6-1収穫のタイミング
トマトが赤く色づけば実が熟した証。特にヘタの近くまで色が変わったら収穫のタイミングです。あまり長く放置しておくと味が落ちることがあるので注意しましょう。
6-2収穫方法
トマトを収穫するときにはハサミで軸を切り取ります。このとき、出来るだけ実に近い部分にハサミを入れるのがよいでしょう。軸を残しすぎると、他のトマトを傷つけることがあります。
07片付け方
7-1やり方
トマトの片づけは、まず誘引のためのヒモや支柱を外し、捨てるものと再利用ができるものに分別します。その後、株を片付けますが、いきなり根を引き抜くのではなく、茎や葉をハサミで適度な大きさにカットしておくと型付けが簡単になります。
7-2注意点
これからもベランダ菜園を続けたいという場合、土を再利用したいという方も少なくありません。
ただし、そのときにはいくつか注意したいポイントがあります。
まず、土に害虫や病原菌が含まれていないかしっかり確かめること。その場合、抜いた根を観察してみましょう。もし根にこぶのようなものが出来ている場合、トマトがネコブセンチュウに感染している可能性があります。ネコブセンチュウとは土の中に生息している虫の一種で、根から栄養分を吸い取ってしまいます。もしそのまま土を使いまわしてしまうと、次に作る植物も同じような被害に遭ってしまうことも。
それを防ぐためにも、土を一度ふるいにかけて、根や茎を取り除いてしまうのがよいでしょう。
さらにその土は太陽熱で消毒します。土をビニール袋に入れてフタをし、太陽の光に三日ほど当てておけば、熱によって殺菌と消毒を行うことができます。
消毒したあとは、土に油カスや腐葉土などの堆肥と有機石灰を加えます。有機石灰は土の酸性度を調節するもの。土の酸性度を調節するための石灰には苦土石灰などがありますが、有機石灰はゆるやかに効果が出るため、初心者にとっては便利です。
また、鉢底石も再利用できるため、捨てずに水洗いして、太陽の光を当てておきましょう。
08収穫したトマトの便利な保存方法
トマトの保存方法としておすすめなのが冷凍保存。冷凍すると、生の食感は失われますが、果肉が凍ることでちょっとしたおやつとして最適。さらにトマトの中の水分も出やすくなるため、トマトソースとしても加工しやすくなります。
また、熟したトマトの場合、まとめてトマトソースにするという方法もあります。きちんと煮沸した瓶を使い、空気を抜いておけば長期間の保存も可能。
逆にまだ熟していない実の場合におすすめなのがトマトのジャム。砂糖やレモン汁などと一緒に煮詰めれば、美味しい手作りジャムを楽しむことができます。
09まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
元・航空会社勤務。
海外での出産、育児の中でオーガニック、無農薬野菜の大切さに目覚める。
帰国後、当時海外ほど無農薬食材が普及していない日本の現状に気付き、自ら栽培を始める。