実はこんな違いが!華道と生け花の意味と違いについて
日本の代表的な文化である華道は生け花とも言われています。ついつい同じように使ってしまいがちな言葉ですが、華道と生け花には違いはあるのでしょうか。今回は華道と生け花の意味と違いについてご紹介します。
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01生け花とは?
一方、生け花は一定の方向から観賞するという特徴があります。
では、生け花は「いけばな」「活け花」と表記されることもありますが、これらの違いはどのような点にあるのでしょうか。
実際には「生け花」「いけばな」「活け花」には、はっきりとした違いはありません。流派によって使われる言葉も異なり、それぞれの考え方によって違うものを指していることもありますが、一般的な立場で言えば、これらはすべてほぼ同じものと考えることができるでしょう。
02華道とは?
華道とは、もともとは神様や仏様に花を供えた習慣が始まりと言われています。
華道が現在に近い形で成立したのは室町時代の中期。当時流行した建築様式である書院造では、床の間が用いられ、そこに中国から渡来した器や絵画が飾られるようになります。それをさらに華やかに飾るために草花が加えられるようになります。
さらに、京都六角堂という寺にいた僧侶が活けた花が武士の間で評判に。六角堂の僧侶は池のほとりに居住していたことから「池坊(いけのぼう)」と呼ばれるようになり、これが日本でももっとも古い華道の家元である「池坊」の原型となります。
その後、華道は武家だけでなく庶民の間にも伝わっていきますが、「道」という言葉がついていることからも分かるように、花を飾るだけでなく、礼儀作法を重んじ、精神修養を促す役割が加わっていきます。
なお、華道は「花道」と書かれることもありますが、ほとんど同じ意味を持っていると考えてよいでしょう。
03生け花と華道のイメージ的な違い
3-1生け花
生け花といえば、ルールがなく、自分の好きなように花を楽しむというのが多くの人が抱いているイメージです。お花屋さんなどで気に入った花や季節の草花を購入したり、庭で成長した花を花瓶などに自由に飾るもの。そのため、生け花という言葉は趣味というイメージが強いということができます。
3-2華道
一方の華道は「道」という言葉がついていることからも分かるように、高い精神性が求められる求道的な位置づけを持ったもの。趣味として楽しむというよりも、修行や稽古を重ねることで、客人をもてなすだけでなく、花の命を尊び、自分自身を成長させるという目的があります。
また、華道には様々な流派があるもの。どの流派で華道を学ぶかによって、身につけることができる「型」も異なります。この型を追求していくことも華道のイメージのひとつと言えるでしょう。
04華道とフラワーアレンジメントの違い
4-1フラワーアレンジメント
フラワーアレンジメントは西洋発祥の技術です。重視されているのは美しさと華やかさ。これらビジュアル面に重きを置いているのフラワーアレンジメントの特徴のひとつです。すでに説明したように、フラワーアレンジメントは花をひとつの方向からではなく、あらゆる方向から見て楽しめる技術。
そのための方法として用いられるのが多くの色や花の種類を用いるということです。花材をたくさん使用することで、隙間を作らず、ゴージャスな雰囲気に仕上げるのがフラワーアレンジメントの特徴です。
4-2華道
一方、華道で重要視されるのが、見て楽しむだけでなく、花を生ける人の精神性を高めるということ。そのため、華道でよいとされるのは必ずしも美しいものや華やかなものだけではありません。
優れた作品の中には、美しく咲いた花だけでなく、枯れた枝や苔などが用いられることもあります。華やかなものだけでなく、これらの素材を用いることで、様々なメッセージを伝えることも華道の魅力のひとつです。
また、フラワーアレンジメントとは異なり、空間や間を楽しむことも華道の特徴。これらは足し算の美しさのあるフラワーアレンジメントに対して、引き算の美学ということができるでしょう。