カウンセリングで重要な心理アセスメントとは?
心理カウンセラーは将来性豊かな人気のお仕事。そんな心理カウンセラーが実際のカウンセリングを行うときに重要となるのが心理アセスメントです。今回は心理アセスメントの手順や方法についてご紹介します。
- 目次
01心理アセスメントとは
1-1アセスメント=評価、判断という意味
アセスメントとは、元々は「評価」「判断」と言う意味で、心理学だけで使われる専門用語ではありません。
たとえば、ある事業が環境に与える影響を測定することを「環境アセスメント」と呼ぶように、アセスメントは様々な世界で使われている言葉です。
また、大学の入試なども、面接や試験によって受験者の評価を行うことから、一種のアセスメントということができます。
つまりアセスメントとは、「対象を判断するために必要な情報を入手するためのテスト」ということになります。
1-2カウンセリングや心理療法を用いて悩みを問診
それでは、心理カウンセラーの世界で使われる心理アセスメントとはどのようなものなのでしょうか。
心理カウンセラーが対象としているのは、心理的な問題や悩みを抱える相談者です。つまり、心理アセスメントとは、カウンセリングや心理療法、心理テストなどを用いて、相談者の問題や症状を理解するための方法ということができます。
この心理アセスメントは、いわば医療機関を受診した場合の問診に当たります。
ただし、内科や外科といった医療機関であれば、「どこが痛むか」「どのような不調があるか」などの問診が行われ、患者はそれに応えることになりますが、心理カウンセリングの場合には、相談者も自分の悩みなどについてはっきり答えることができないというケースや、自分でも悩みの原因が分からないこともあります。
そのため、心理カウンセラーは様々な手法を使用して相談者の心理アセスメントを行います。
その後、その結果を参考にして治療の方針を固め、相談者に今後の方向性を伝えていきます。
02心理アセスメントの手順
2-1カウンセリング、面接をする状況を知る
心理アセスメントにおいてなによりも重要なのは、相談者がどのような性格で、どのような環境にあるのかといった状況を知ることです。
たとえば、風邪や骨折であれば、様々な検査や本人の申告によってその症状に合わせた治療法を選択することができますが、心の問題を扱う心理カウンセラーの場合には、まず相談者の性質などを知ることが必要になります。
そもそも人の心は千差万別。ある人にとっては問題ないという状況も、別の人にとっては強いストレスの原因となることも少なくありません。
まず相談者を詳しく知ることが、心理アセスメントの第一歩となります。
さらに心理アセスメントでは、症状の把握も重要になります。
心理カウンセラーを訪れる人の中には、夜眠れないという不眠や、漠然とした不安を感じるといった症状を訴える人も少なくありません。
しかし、実際には健康な人でも眠れないことや不安を感じることはあるもの。それらの症状は相談者の性格や主観にも関わってくるため、それらを客観的に判断するということが必要になります。
これらの判断には、様々な心理的な試験が用いられます。
2-2仮説をたて、所見をクライアントに伝える
心理カウンセラーが相談者の性格や症状を把握したら、次に仮説を立てることが必要です。
仮説を立てる場合には、その状態になった原因や、どのような性格が影響しているのかといった判断が求められます。
これは心理カウンセラーにとっても非常に難しいもので、たとえば風邪や骨折の場合であれば、血液検査の数値やレントゲンの結果などによって客観的な判断が可能になりますが、心理カウンセリングではこのような明快な判断を行うことはできません。
そのため、この仮説を立てるという段階は心理カウンセラーの技術を経験が問われるポイントです。
その後、所見をクライアントに伝えて、解決への道筋を探るのが心理アセスメントのゴールということができるでしょう。
03心理アセスメントの手法と内容
3-1行動観察法
行動観察法とは、相談者の行動を観察して分析する心理アセスメントの手法です。
たとえば、態度や表情、言葉などから心理的な状態や性格を読み取るのが行動観察法です。
また、女性の場合であれば化粧の仕方や、カウンセリングの予約のときの電話での話し方といったことからも、相談者の対人関係の特徴や社会とのかかわりかたといったポイントを読み解くこともできます。
3-2面接法
面接法は相談者と直接会話を交わしながら、悩みの要因を引き出す方法です。
面接法の中にも様々な種類があり、最初から質問する項目を明確に決めておき、その反応から相談者の状態を把握するものや、質問を決めず相談者に自由に話をしてもらうことで相談者の心理を探る方法などが用いられます。
また、質問事項をあらかじめ決めておきながら会話の状況によって内容を変えたり、ひとつの事項について深く掘り下げたりといった方法などもあり、心理カウンセラーには臨機応変な対話の能力などが求められます。
3-3心理テスト法
心理テストとは、様々なテストを行うことで相談者の状態を診断する方法です。
一般的な心理アセスメントの場合、「行動観察」「面接」「心理テスト」の三つの総称として「心理テスト」と呼ばれることもあります。
心理テストには非常に多くの種類がありますが、大きく知能検査や学力検査などの能力を測定する検査と、その人の個性や性格を知るための性格検査や適性検査などの二種類に分けることができます。
特に有名なのは、図形などを見せてそこからどのようなものを想像するかというロールシャッハ検査やバウムテストといった投影法や、就職活動などでも用いられる「内田・クレペリンテスト」などです。
04心理テストを行う目的
4-1知能・能力・性格などの多方面から判断できる
心理テストの大きなメリットは、相談者について知能や能力、性格などから多角的に判断できるということです。
また、面接による診断では、どうしても心理カウンセラーの能力や主観に影響されることも少なくありませんが、それに比べると心理テストの場合、比較的客観的な判断が可能です。
心理テストは歴史の古いものもあり、そういった長い期間使われてきたテストの場合、これまでの経験から信頼性の高い結果を導き、そこから適切なカウンセリングを行うこともできます。
4-2深層心理まで知ることができる
心理テストの目的のひとつに、相談者の深層心理を知るというものがあります。
すでに紹介した投影法の場合、相談者が普段は意識することのない無意識のレベルでの心理状態を診断できるということが大きなメリットです。
また、相談者が自分自身でも把握できない感情や、言葉では表現できない深層心理の側面を推測できるということも心理アセスメントにとって非常に効果的です。
05まとめ
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