胸式呼吸のコツとは?ピラティスの呼吸法について
ピラティスで重要となるのがエクササイズ中の呼吸です。この呼吸法をしっかりと身につけることがピラティスのエクササイズ効果をアップさせるポイント。では、ピラティスの呼吸方法とはどのようなものなのでしょうか。今回はピラティスの呼吸法と、注意すべきポイントについてご紹介します。
- 目次
01ピラティスの呼吸法とは?
1-1ピラティスで胸式呼吸
ピラティスで用いられる呼吸は、「胸式呼吸」と呼ばれるものです。胸式呼吸とは、簡単に言えば息を吸うときに胸を膨らませて、反対に息を吐くときには胸を縮める呼吸のやり方。
呼吸法といえば、お腹を膨らませる「腹式呼吸」が有名ですが、ピラティスではこれとは反対の胸式呼吸を用います。
1-2慣れていないと難しい
といっても、胸式呼吸は慣れていないと難しいもの。たとえばリラックスして横になり、自然に呼吸をするとどうしてもお腹が膨らむ腹式呼吸になりがちです。
また、胸式呼吸というと、呼吸が浅くなる、肺にしっかりと空気が吸い込めない、肩に力が入るといった悪いイメージを持っている方も多いはず。
そのため、意識して胸式呼吸をする機会は意外に少なくなり、結果としてどうしても慣れないうちはスムーズに呼吸を行うことが難しくなります。
1-3呼吸はピラティスの基本のひとつ
このように、最初はなかなか難しい胸式呼吸。実際にピラティスのエクササイズに挑戦している方の中でも、胸式呼吸が難しいと感じる方は少なくありません。
ピラティスのエクササイズでは、この胸式呼吸を行いながら、様々なポーズを行っていくため、さらに身体の使い方が複雑になります。また、動きだけに集中すると呼吸が腹式呼吸になったり、呼吸に集中するとどうしても動きがおろそかになったりということも起きてしまいます。
しかし、実は呼吸法はピラティスでは非常に重要と考えられているもの。
そのため、まずピラティスを行うときには、この独特の呼吸法をマスターすることが最初のステップとなります。
02ヨガの呼吸法との違い
2-1ピラティス=胸式呼吸
すでに説明した通り、ピラティスでは胸式で呼吸を行います。
これはピラティスの目的とも深いつながりがあります。
ピラティスで重視しているのは、身体の体幹やインナーマッスルを鍛えて、姿勢改善をサポートすること。
そのときに必要なのが交感神経です。
交感神経は身体が活動的な状態になっているときに働く自律神経で、交感神経が優位になっているときには頭が冴えて、身体には緊張感がもたらされ、心身ともに活動的な状態になります。
また、筋肉を鍛えるときに働くのも交感神経。
つまり、体幹やインナーマッスルを鍛えるときには、交感神経が優位になっているのが望ましいともいえますが、ピラティスの呼吸法は胸を膨らませるだけでなく、その周囲の筋肉に刺激を与えるため交感神経が活性化、結果として、筋肉を鍛え、姿勢の改善に最適な環境を作り出します。
2-2ヨガ=腹式呼吸
一方、ヨガで行われるのは腹式呼吸。腹式呼吸は胸式呼吸とは逆に、副交感神経を刺激してリラックス効果をもたらします。
副交感神経は全身の筋肉や神経を休ませる時に働くもので、副交感神経が優位になっているときには身体は休憩モードに入っています。
実は、この状態がヨガにとっては非常に重要。というのも、もともとヨガは現在のようにエクササイズやフィットネスとして用いられるものではなく、仏教をはじめとした宗教の修行の一環である瞑想の方法として取り入れられたもの。
つまり、ヨガで重要なのは瞑想が行いやすいような状態に心身を導くことです。そのため、ヨガでは副交感神経を活性化する腹式呼吸が用いられるようになりました。
03胸式呼吸のやり方
3-1呼吸でお腹を膨らませない
胸式呼吸を行うときには、まず呼吸でお腹を膨らませないという点に注意しましょう。
リラックスして呼吸をすると、どうしてもお腹が膨らんでしまうもの。
そのため、胸式呼吸を行うときにはまずお腹に手を当てて、お腹が膨らまないように気を付けましょう。
3-2横隔膜を上下させる
しかし、どれだけ注意してもどうしても腹式呼吸になってしまうという方もいらっしゃるかと思います。
そういう方の場合、まず呼吸のシステムを意識することも重要になります。
そもそも、腹式呼吸でも胸式呼吸でも、空気が入るのは肺。なぜ腹式呼吸でお腹が膨らむのかといえば、肺に入った空気が横隔膜を押し下げて、内臓を圧迫するからです。
そのため、胸式呼吸を行うときには横隔膜の動きを意識するのが効果的。まず横隔膜を意識して呼吸を行い、次に横隔膜を動かさずに呼吸してみると、どの部分に空気が入っているのかを意識することができます。
3-3肋骨を動かす
また、胸式呼吸を行うときには、肋骨を意識するという方法もあります。特に胸式呼吸を始めたときには、お腹を動かさないことに注意するあまり、十分な空気が吸いきれないということもあります。しかし、しっかり酸素を補給しなければ、せっかくのピラティスの効果も低下してしまいます。
胸式呼吸でしっかり空気を吸うためにも、肋骨は重要な役割を果たします。
肋骨を意識するときには、まず椅子に座って後ろで手を組んでみましょう。
そこでゆっくりと息を吸い込んでいきますが、そのときには肋骨の前面を開くように肩甲骨を寄せていきます。このとき、顔はやや上に向けておきます。
そうすると、肋骨の前面が開いて、腹式呼吸にならなくても自然に空気が入ってくるはず。
肋骨の前面を開くイメージができたら、次に手を前に組んで軽く背中を曲げて猫背のような姿勢を取ります。その後、背中全体をストレッチするようなイメージで息を吸い込み、吐き出していきます。
すると、肋骨の背面も広げるイメージができます。
さらに、脇腹の部分を手で押さえて、呼吸をしながら軽く身体を曲げていきます。これを左右で繰り返すと、肋骨の前後左右が伸ばされて、簡単に胸式呼吸を行うことができます。
3-4ラジオ体操の深呼吸
もしどうしても胸式呼吸ができないという方におすすめなのが「ラジオ体操」です。ラジオ体操は誰でも一度はやったことがある体操ですが、その中の深呼吸は、胸式呼吸の方法としては理想的。
胸式呼吸が苦手という人は、ラジオ体操の深呼吸を試してみるとしっかりとした呼吸ができます。
04意識するポイント
4-1吸った倍の時間をかけて吐き出す
まず必要なのは、吸った倍の時間をかけて空気を吐き出すということ。
肺の中に空気が残ったままでは、十分な呼吸をすることができません。吸うことよりも、吐くことを意識しましょう。
4-2マスターするまで手で確認しながらおこなう
自分では胸式呼吸ができたと思っても、気を抜くと腹式呼吸になってしまうことは少なくありません。
しっかりとマスターできるまで、肋骨やお腹に手を当てて、きちんと呼吸ができているかのチェックを忘れないようにしましょう。
4-3胸式呼吸と腹式呼吸は目的に合った使い分けがポイント
胸式呼吸と腹式呼吸には、それぞれのメリットとデメリットがあります。たとえば、睡眠前に胸式呼吸を行うと、交感神経優位になってしまって逆効果。
胸式呼吸と腹式呼吸は、目的に応じて使い分けましょう。