パン作りの基本工程について
料理好きの方の中には「自分でパンを作ってみたい!」と考えたことのある方も多いはず。でも、パン作りは難しそうと思ってあきらめていませんか?パン作りはいくつかのポイントを押さえれば意外に簡単なもの。今回はパン作りの基本的な工程についてご紹介します。
- 目次
01パン作りの工程
1-1こねる、発酵、形成、焼く
パン作りの工程は大きく四つに分けることができます。
最初に行うのが「こねる」。この工程では、パン作りの原料となる小麦粉と水、発酵に必要なイースト菌などの酵母、塩、砂糖、油脂などをひとまとめにすることが目的です。
「こねる」の工程が終わったら、次は「発酵」の段階に進みます。
一般的に、発酵は一次発酵と二次発酵のふたつの段階に分かれています。
一次発酵では、パン生地の中の酵母が発酵、炭酸ガスとアルコールが生まれますが、この二つがパンのふくらみと香りにとって非常に重要となります。
また、二次発酵は最終的なパンの大きさを決定します。
実はこの一次発酵と二次発酵の間にも、別の工程が必要です。それが「形成」の工程です。
形成の工程は読んで字のごとく、パンの形を整える作業です。といっても単に形を整えるだけでなく、同じ生地でも形を変えるだけで口当たりなどの食感が変わって来るため、パン作りにとって非常に重要。
あんぱんやカレーパンのように、パンの中にフィリングを詰めるのも、この形成の工程で行われます。
これらの準備が整ったら、生地をオーブンに入れて焼き上げ、パンが完成します。
1-2ひとつひとつは意外と簡単にできる
このように、パン作りには様々な工程が必要で、それぞれ非常に難しそうに見えるかもしれません。
また、実際にパン作りにチャレンジした方の中には、どうもうまくできなかったという人も少なくないかもしれません。
しかし、これらひとつひとつの工程は実は意外と簡単です。
また、それぞれの工程で基本的なポイントを押さえるだけで、誰でも簡単に美味しいパンを作ることができます。
02パン作りに必要な材料
2-1強力粉
強力粉は小麦粉の一種で、薄力粉よりも多くのたんぱく質が含まれています。このたんぱく質は水と混ざることで粘着性と弾力性を兼ね備えたグルテンに変わりますが、このグルテンがふっくらもちもちしたパンのポイント。
さっくりした食感のパンを作りたい場合、強力粉よりもたんぱく質の少ない準強力粉や中力粉といった粉が使われることもあります。
2-2砂糖
砂糖は出来上がったパンに甘さを与えますが、実は砂糖の役割はそれだけではありません。
砂糖には強い保水力があるため、砂糖を入れることでパンがしっかり水を含むことができるため、乾燥しにくいパンを作ることができます。
また、砂糖を焼くことできれいな色が生まれ、これが美味しそうなパンの焼き目につながります。
そのほかにも、砂糖には発酵に必要な酵母菌のエサになるといった役割もあります。ダイエット中の方や体重が気になるという方の場合、どうしても砂糖を控えてしまうことがありますが、そうすると美味しいパンを作ることができません。
2-3塩
塩は料理の味を決める重要な存在ですが、パンを作る上ではそれ以上に重要な役割があります。
塩の大きな役割は、パンの基本となる生地を引き締め、弾力性の強いグルテンを作ること。
もし塩を入れずにパンを作った場合、グルテンの膜が弱くなり、こねにくい生地になってしまいます。
また、塩には殺菌効果があるため、日持ちのするパンを作ることができます。
2-4ドライイースト
イースト菌は酵母の一種で、発酵することで炭酸ガスとアルコールを発生、パンのふくらみと香りのもとになります。
イースト菌には生イーストなど様々な種類がありますが、特に便利なのが乾燥した状態で販売されているドライイーストです。
ドライイーストはあらかじめ発酵させる必要もなく、そのまま粉に混ぜ込んで使えるため、パン作りの初心者にはおすすめです。
ドライイースト以外の酵母には様々なものがあり、パン作りにこだわる人の中には、自分で酵母菌を作っている人もいますが、最初はドライイーストを使えば手軽にパン作りにチャレンジすることができます。
2-5水
パン作りに欠かせないのが水。水は小麦粉と混ぜ合わせることでグルテンになり、パンの生地に変身します。また、水を入れることで砂糖や塩などの調味料、イーストなどの酵母を溶かして、生地としての一体感を生み出します。
パン作りを行うときには、美味しいパンを作りたいとミネラルウォーターを使う方もいらっしゃいますが、ミネラルなどが多く含まれるとグルテンが固まることもあるため、普通の水道水を使うことがベストです。
03パンの基本の作り方
3-1材料を混ぜてこねる
まず、最初に小麦粉に水などを加えて、材料をこねてグルテンを形成していきます。しっかりしたグルテンは、酵母から発生する炭酸ガスを逃さず内部に受け止めるため、ふっくらしたパンを作ることにつながります。
このとき、単に材料を混ぜ合わせるだけでなく、しっかりと生地をこねることが重要です。
生地を軽く伸ばしてみて、生地が破れずしっかりと伸びるようになれば、十分に生地がこねあがっている証拠です。
3-2一次発酵
一次発酵では、こねあがった生地を温かい場所に置いて、酵母などによる発酵を促します。そのとき、きちんと発酵したかどうかを確かめる方法がフィンガーチェック。
指を生地に押し付けて、指のあとがそのまま残ればきちんと発酵した証。
発酵が不足していると、指の穴が塞がってしまいます。
3-3ベンチタイム
ベンチタイムは、一次発酵で溜まったガスを一度抜き、生地に新しい酸素を与えて酵母をさらに活性化する過程です。
また、発酵した生地を休ませて、さらに伸びやすい生地になるようにうながします。
3-4成形
生地が落ち着いたら、作りたい大きさや個数に合わせて生地を切り分けていきます。
このとき、無理に引きちぎると生地が傷んでしまうため、カードやスケッパーなどを使用しましょう。
生地を切り分けたら、打ち粉をして生地をまとめていきます。このとき、生地の中に含まれる炭酸ガスをなるべく逃さないようにすると、ふっくらしたパンを作ることができます。
3-5二次発酵
二次発酵は、パンの最終的な大きさを決める作業です。二次発酵前に比べて、パンが約二倍の大きさになっているかどうかが目安になります。
この二次発酵は、そのままオーブンに入れることができるように、オーブンの角皿やパン焼き用の型などを使って行うのが一般的です。
3-6焼成
パン生地をオーブンに入れて焼き上げるのが「焼成」の作業です。
基本的にはオーブンにお任せの作業ですが、きちんと予熱を行ったり、オーブンのクセによってパンの配置を変えたりといったケアも必要になります。
3-7焼き上がり
レシピ通りの時間が来れば、パンの焼き上がりです。このとき、オーブンに入れっぱなしにしておくと焼き過ぎになってしまうので注意しましょう。
また、パンの種類によっては焼き立てよりも少し寝かせたほうが味が落ち着くこともあります。
04まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
和裁士、一般事務職を経て調理師専門学校にて調理、パン、洋菓子、フードコーディネートを学ぶ。
その後、大手製パン会社のベーカリー部門に入職。
パン職人となる。
退職後、神奈川県茅ケ崎市の自宅工房にて、「3日目もふわふわパン」が焼けるようになるパン教室&販売shino'sパン工房を主宰。
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