ヌーボーの意味とボジョレーヌーボーの特徴について
ワインにくわしくないという方でも「ボジョレーヌーボー」という名前は聞いたことがあるはず。ではボジョレーヌーボーとはどのようなワインなのでしょうか。また、ボジョレーヌーボーの「ヌーボー」にはどのような意味があるのでしょうか。今回はヌーボーの意味やボジョレーヌーボーの特徴についてご紹介します。
- 目次
01ワインの「ヌーボー」とは?
1-1ヌーボー、ヌーヴォー(NOUVEAU)
「ヌーボー」は、フランス語では「新しい」とか、「最近現れた」などという意味を指している言葉です。
たとえば、アートの世界では「アールヌーボー」という言葉があり、これは1900年前後の装飾を意味していますが、これは日本語では「新しい芸術」という意味。アールヌーボーは当時の最先端のアートであることからこのように呼ばれるようになりました。
1-2当年産のワインのこと
ワインの世界で「ヌーボー」というと、「当年産のワイン」、つまり、その年に収穫されたブドウで造った新酒ということになります。
ワインというと、熟成させなければ楽しめないというイメージがありますが、その年に収穫された新鮮なブドウを使ったヌーボーは新酒ならではの軽さとさわやかさがあり、世界の人に親しまれています。
02ボジョレーヌーボーとは?
2-1ボジョレーは地名
「ヌーボー」が「新しい」を意味するフランス語であることはすでに説明した通り。では「ボジョレー」とはどんな意味なのでしょうか。
ボジョレーとは、フランスにある地名です。フランス・ブルゴーニュ地方の南部にある地域がボジョレーと呼ばれる地区。このボジョレーは、昼は暖かく、夜は冷えこむという気候で、土壌も「石灰粘土層」と呼ばれるブドウの栽培にはもってこいの場所です。
2-2ボジョレー地区の新酒ということ
このボジョレー地区は特に「ガメイ」と呼ばれる品種のブドウ栽培が盛んですが、このガメイを使って作られるボジョレー地区の新酒が「ボジョレーヌーボー」と呼ばれるワインです。
つまり、ボジョレーヌーボーはフランスでその年にもっとも早く飲める新酒ということ。その年の収穫を祝って飲まれるワインがボジョレーヌーボーということになります。
2-311月の第3木曜日に解禁される
ボジョレーヌーボーは毎年11月の第三木曜日に解禁されます。
実は以前は11月の15日に解禁とされていました。しかし、年によってはその日が土曜日や日曜日になることも多く、フランスではそれらの日には運送業者やワインショップが休業になることもあるため、売れ行きへの影響を懸念したフランス政府は、解禁日を平日にするという目的で「第三木曜日」と定めるようになりました。
ちなみに日本では、時差の関係から解禁日が世界でももっとも早くやって来るということもあり、高い人気を集めています。
03ボジョレーヌーボーの注目度が高い理由
3-1醸造法が他と違い、質が味わいに直結する
通常のワインでは、ブドウを収穫してから発酵や熟成の期間を経てから出荷が行われます。この熟成期間に関しては、ワインの品質や産地を守るため、政府が地区ごとで法律を定めています。そのため、樽につめてから赤ワインでは10か月から20か月、白ワインでは10か月から12か月という期間が必要。
しかし、ボジョレーヌーボーの場合、数週間の熟成で出荷が認められているため、短期間に流通することが可能です。
それはボジョレーヌーボーの醸造方法に秘密があります。ボジョレーヌーボーはマセラシオン・カルボニック法という特殊な方法で製造が行われます。
マセラシオン・カルボニック法は日本では「炭酸ガス浸潤法」と呼ばれるもので、通常の製法とは異なり、ブドウを潰さず、すべてを縦長の密閉タンクに詰めて行う製造方法です。しっかりとブドウをタンクに詰めこむことで、自らの重みによってブドウが潰れ、自然に発酵が始まります。
このとき生まれるのが炭酸ガス。炭酸ガスは潰れていないブドウの内部にも作用して、リンゴ酸やアルコール、アミノ酸といったうま味成分が生成されます。さらに炭酸ガスがタンクの中で一杯になると、ブドウの果肉や皮の色が出やすくなるだけでなく、新酒ならではの酸味も低下、フレッシュな味わいを残しながら飲みやすいワインが醸造されます。
3-2ぶどうの出来栄えの指標になる
すでに説明したように、通常のワインの場合には、一年以上の熟成期間が必要なことも。そのため、本来であればその年に収穫されたブドウをすぐに味わうことは不可能です。
しかしボジョレーヌーボーの場合には短期間での製造が可能なため、その年のブドウをすぐにワインで確かめることができます。
ワインの味にとってブドウの出来栄えは非常に重要。ボジョレーヌーボーには、その年のブドウの出来を知る指標という役割もあります。
04ボジョレーヌーボーの特徴
ボジョレーヌーボーに使用されるのは、ガメイ種と呼ばれるブドウですが、このガメイ種には渋みが少ないという特徴があります。
また、ボジョレーヌーボーの製法であるマセラシオン・カルボニック法で作られたワインは、フレッシュな果実味が生まれます。
結果として、渋みと酸味が少なく、フルーティーなワインが楽しめます。
05ボジョレーヌーボーの飲み方
5-1少し冷やす
普通の赤ワインの場合、常温や室温で楽しむのが常識です。しかしボジョレーヌーボーの場合に限っては、少し冷やした飲み方がおすすめ。通常の赤ワインに含まれるタンニンは、冷やすと渋みが強調されてしまいますが、ボジョレーヌーボーの場合、もともと含まれるタンニンが少ないため、少し冷やしても渋みを感じることがありません。
5-2冷蔵庫で1時間くらいが目安
ボジョレーヌーボーを冷やす場合には冷蔵庫で一時間程度がベスト。もし冷やし過ぎた場合、香りが立ちにくくなり、せっかくのボジョレーヌーボーのフルーティーさを感じにくくなってしまいます。
また、ボジョレーヌーボーに合わせる料理としては、味の濃さが中程度で新鮮な香りがあるもものとされていますが、洋食だけでなく、和食や中華など、様々な料理との相性もよいと言われています。
5-3早飲みタイプ
ボジョレーヌーボーの魅力は旬のブドウのフレッシュさ。そのため、普通のワインのようにワインセラーで熟成されるというよりも、解禁から数ヶ月で飲み切ってしまうのがおすすめです。目安となるのは、年末から年明けごろ。この時期は人が集まる機会も多いため、パーティなどに提供してそこで飲み切ってしまうという方法もあります。
06まとめ
この講座は!プロの監修を受けています!
1999年 当時日本で最年少で社団法人日本ソムリエ協会ソムリエ資格を取得。
2002年 C.I.V.C日本シャンパーニュ委員会デュプロム取得 No.235
2005年 札幌大通り公園で毎年5月に開催されるさっぽろライラック祭り内で、7丁目に北海道のワインと食のイベント「ワインガーデン」を自らプロデュースし立ち上げる。
(総合プロデュースは2005年〜2009年)
2011年FBO唎酒師呼称資格認定
2012年 社団法人日本ソムリエ協会シニアソムリエ資格取得
2015年 シャンパーニュ騎士団ショバリエ叙任
(フランス、ルイ14世時代から続く歴史的、由緒正しき伝統ある騎士団)
2016年 フランスシャンパーニュ地方「ニコラフィアット社」公式アンバサダー任命 (世界初のニコラフィアットアンバサダーに任命)※15年連続フランス国内生産量No.1
2017年豆腐マイスター、おから味噌インストラクターライセンス取得
2018年 シャンパーニュ騎士団オフィシエ叙任
2019年から現在、料理屋botanの専属シニアソムリエール
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