薬膳カレーの簡単レシピ┃スパイスの薬効で万能薬に!
カレー好きの方は勿論。健康に気をつけてある方も「薬膳カレー」という単語を一度は耳にされた事があるのではないでしょうか?健康効果だけでなく、美容効果も高いということで女性からも多くの支持を集めています。
- 目次
01薬膳カレーとは
では、普通のカレーと薬膳カレーでは何が違うのでしょうか。通常ご家庭で作るカレーは「カレールウ」を使い、だいたい決まった食材・好きな食材を入れる。というケースが多いかと思います。勿論この方法でも具材やターメリックなどの効能があり身体に良いです。しかし薬膳カレーの場合は「スパイス」と「食材」のそれぞれがもつ薬効を考慮し、食べる人の体調に合わせて作るため、より高い薬膳効果を得ることが出来ます。ここが大きな違いです。また、カレールウのほとんどは動物性油脂が使用されているという点でも健康効果に差がつくといえます。
1-1基本は不調を防ぐもの
薬膳は美容と健康に効果があると言われています。というのも、薬膳で使用されている食材の中には、漢方薬にも使用されているものがあるから。漢方薬は、植物や動物、鉱物といった自然に存在するものの中で、薬としての効果が高いものを選び、調合したものですが、薬膳でもこれらの生薬を食材として使用、内側から身体の調子を整えてくれます。
また、薬膳は体調を整えて、病気になる前の段階で身体を調整する効果も期待できます。中医学では「未病」という考え方がありますが、これは病気ではないが健康でもないという、病気と健康の間の状態。
この未病の段階で体調を整え、病気になることを防ぎながら身体を健康な状態へと導きます。
そのため、薬膳を普段の生活に取り入れることで、不調を防ぐという効果が期待できます。
1-2薬膳で解消できると言われる症状
では、どのような症状が薬膳で改善できるのでしょうか。薬膳は健康面と美容面のふたつの効果があります。
まず健康面では、冷え性や疲れ対策、滋養強壮、肩こりや腰痛など。特に生活習慣病に対しては効果を発揮します。というのも、薬膳の基本となるのは、身体の中に溜まった余計なものを排出し、身体の力を補うという考え方。現代人は不規則な食生活や偏ったメニュー、コンビニ弁当やファストフードによる塩分や糖分、脂質などが過剰になりがち。それが溜まりすぎたものが糖尿病や高脂血症、高血圧といった生活習慣病ですが、薬膳は食べ過ぎを防ぎながら、体内から不要なものの排出を促し、身体の調子を整えてくれます。
一方の美容面では、むくみや便秘、肌荒れなどにも効果があります。
実はむくみや便秘、肌荒れなども、生活習慣病と同じく、体内に不要な老廃物や水分が溜まってしまったことが原因。薬膳で使用される生薬は、これらの不要な老廃物や水分の排出も促し、すっきりした身体に導いてくれます。
また、薬膳の美容効果としてダイエットが挙げられます。
薬膳は様々な効能を持った食材を組み合わせて料理として提供するものですが、素材や組み合わせによって、内側から体質改善を行うことも可能です。
そもそも薬膳のベースとなっている中医学は、個人の体質や体調を重視し、それを健康な状態へと導くもの。そのため、中医学の理論をベースにした薬膳も、体質の改善に効果を発揮します。太りやすい体質やむくみやすい体質、なかなか体重が落ちないといった場合でも、身体の中から不足している物を補うことで、痩せやすく太りにくい体質へと導いてくれます。
02薬膳カレーに使うスパイスの効能
2-1クミン
カレーの香りの決め手となるスパイスです。食欲増進・血行促進・ストレス・解毒・健胃整腸作用・免疫力の向上といった効果があります。更にダイエット・アンチエイジング・デトックス・リラックス効果など美容にも嬉しい効果がたくさんつまっています。ただし摂り過ぎは体臭を強めるので注意も必要です。
2-2カルダモン
ショウガ科の植物で種の部分がスパイスとして使用され、消化を助けるはたらきがあります。口臭予防・集中食促進・ダイエット・リラックス効果・発刊・咳や痰といった呼吸気管の不調にも有効です。ただし香りが強いため幼児や妊娠中の方は控えるほうが望ましいでしょう。
2-3クローブ
肉料理の臭み消しとして様々な料理に使用されているスパイスです。血行促進・消化促進・動脈硬化/リュウマチ/心筋梗塞予防・免疫力の向上・アンチエイジングなどの効果があります。更に消炎・鎮痛の効果もあるため歯痛の際はクローブを噛むと痛みも和らぎます。注意点としては香りが強いため幼児や妊娠中の方は控えるほうが望ましいでしょう。
2-4シナモン
漢方では桂皮/桂枝と呼ばれており、身体を温めてくれるスパイスです。カレーだけでなく温かい飲み物に加える事で更に身体を温める力が向上します。冷え性・むくみ・アンチエイジング・ダイエット/美肌効果・抜け毛・風邪の予防にも有効です。
2-5ターメリック(ウコン)
カレーの”色”を担っているスパイスです。「ウコン」の呼び方で健康食品やドリンクなども流通しているため二日酔いの予防など肝機能を高める効果は非常に有名ですね。でも効果はそれだけではないんです。アンチエイジング・デトックス/ダイエット/美肌効果・脳の活性化・便秘の改善などにも有効です。
2-4カイエンペッパー(唐辛子)
身体をあたためてくれるスパイスなので冷えが気になる方にピッタリです。更に肩こり・腰痛・消化機能向上・食欲増進・血行促進・新陳代謝促進・生活習慣病予防にも効果を発揮します。ただし胃腸の弱い方は負担をかけないよう控えめに摂取しましょう。
03薬膳カレーに使う食材の効能
3-1にんにく
身体をあたため疲労回復にも高い効果をあげてくれる生薬です。滋養強壮・殺菌作用・解毒作用もあり、便秘・風邪・冷え性・アンチエイジングにも効果的です。ただし摂取する際は摂り過ぎないようにしましょう。
3-2しょうが
生姜も体を温める生薬です。新陳代謝を高め血行を良くし、消化吸収を高めてくれます。風邪・冷え性・脂肪分解・坐骨神経痛・夜尿症・免疫力向上にも有効です。
3-3トマト
アンチエイジング・美肌・ダイエット効果が高いため女性からも非常に人気のある野菜です。疲労回復・高血圧・皮膚病・生活習慣病/風邪の予防にも効果的です。またトマトは夏野菜でもあり身体の熱を冷ます効果もあります。夏バテや熱中症にも有効です。冷え性の方は加熱したりスープなどに入れ、あたためて食べると良いでしょう。
3-4鶏もも肉
人が最も必要とする栄養素でもある「タンパク質」が摂取できます。消化機能の向上・疲労回復・食欲増進・虚弱体質・下痢・咳にも有効です。また、もも肉は身体を温める効果も高いため冷えが気時にもオススメです。
04「漢方薬局のオリジナル薬膳カレー」のレシピ
<Aスパイス>
クミンシード:小さじ2
カルダモン:3粒
クローブ:5粒
シナモンスティック:1本
タマネギ:1個 (みじん切り)
ニンニク:1片 (みじん切り)
ショウガ:1かけ(すりおろす)
鶏もも肉:200g (ひと口大)
サラダ油:大さじ3
塩:小さじ1
ターメリックパウダー:小さじ1
カイエンペッパー:小さじ1/2
ホールトマト(水煮): 200g
お湯:200mL
ごはん:お好みの量 ※今回は雑穀米を使用
【作り方】
1. 野菜・鳥肉をカット・おろしておく。
2. 鍋にサラダ油を入れ熱してから「Aスパイス」4種を入れて炒める。
3. スパイスの香ばしい香りがしてきたらタマネギを加え炒める。玉ねぎがあめ色にになったら、にんにく・ショウガを加えて更に炒め、ターメリックパウダー・カイエンヌペッパー・塩を加え、更に 5分程度炒める。
4.ホールトマトを加え、木べらや耐熱のヘラなどで潰しながら炒めていく。水気が少なくなってきたら鶏肉を加え色づくまで炒め、お湯を加えて煮込む。20分程煮込めば完成。
ごはんと一緒に器に盛っていただきましょう。
【ポイント】
酸味が苦手な方はトマト(水煮)の汁をしっかり切ると酸味が抑えられます。また、辛さが苦手な方はヨーグルトを加えるとまろやかになります。スパイスの量で微調整を行う場合は「カイエンペッパー:辛さ」「ターメリックパウダー:色」「クミンシード:風味」を目安に調整します。
05体調に合わせたスパイスと食材を選んでみよう
例えば「ごはん」も雑穀米・サフランライス・ターメリックライスなどがありますし、今回レシピに使用している「スパイス」以外にも薬膳効果の高いコリアンダー・フェヌグリーク・フェンネル・ローリエ・オールスパイスなどがあります。体調に合わせる場合はお酒を飲む予定がある日はターメリックを多めに加えたり、白ご飯をターメリックライスに変える。胃の調子が悪い日はコリアンダーを増やし唐辛子を減らすなど。ここに旬の食材や欲しい効能を含んだ食材を組み合わせれば、更に体調に合わせたオリジナルの薬膳カレーになります。
また「カレー粉」には最低でも5種類のスパイス(生薬)が入っていますし、他の料理にも使いやすく便利ですので、スパイスを組み合わせるのが面倒な方はカレー粉を使用するだけでも薬膳効果が期待できますのでぜひ取り入れてみてください。