漢方の効き目と特徴について
長い歴史を持っている漢方薬。身体に優しいというイメージもあるため、興味があるという方も多いのではないでしょうか。今回は漢方の利き目や特徴、漢方薬を選ぶポイントについてご紹介します。
- 目次
- 1. 漢方薬とは?
- 1-1. 植物や鉱物などの薬としての性質を持っている生薬を調合したもの
- 1-2. 「中医学」が日本に伝わり、独自に発展して東洋医学として「漢方」と名づけられた
- 1-3. 診療所の91.8%が漢方薬を処方
- 2. 漢方にはどんな効き目や特徴がある?
- 2-1. 体質改善が目的の場合
- 2-2. 困ったときに使いたい
- 3. 即効性のある漢方もある
- 3-1. 初期の風邪などには即効性を発揮する漢方もある
- 3-2. 急性病(風邪)に使われている漢方薬
- 4. 漢方選びのポイント
- 4-1. 他人が効いたから自分に効くとは限らない
- 4-2. 養生が悪いと効き目が薄れることも
- 4-3. 漢方に詳しい医師などに自分の体質に合った漢方薬を選んでもらう
- 5. まとめ
01漢方薬とは?
1-1植物や鉱物などの薬としての性質を持っている生薬を調合したもの
漢方薬の基本となるのは「生薬」と呼ばれるものです。生薬とは、自然界に存在する植物や動物、鉱物の中から薬として使用できる性質を持ったものを選び調合したもの。それぞれの薬には決まった調合の方法があり、それらは数千年という長い歴史の中で発展、進化してきたものです。
そのため、西洋医学と異なり、治療の経験の数が多く、副作用などについても心配せず使用することができます。
また、漢方の特徴のひとつに通常は毒として有毒な要素があるものも生薬として取り入れること。そのまま体内に取り込むと毒になってしまうものでも、それを押さえる効果のある生薬と調合することで、有毒な効果を調整、体内の環境を整えることができるのです。
1-2「中医学」が日本に伝わり、独自に発展して東洋医学として「漢方」と名づけられた
そんな漢方ですが、実は日本で発展したもの。中国の医学である「中医学」が日本に伝わったのは五世紀から六世紀と言われていますが、そのとき、医療技術と同時に、生薬や医学書などが持ち込まれました。
その後、日本に渡った中医学は日本人の体質やライフスタイル、日本の気候風土に合った形で発展、薬の技術についても、日本で採取できる生薬と中国の伝統技術を組み合わせることで、「漢方」と名付けられました。
1-3診療所の91.8%が漢方薬を処方
漢方というと、西洋医学とは全く別の存在というイメージですが、現在では西洋医学の現場でも漢方薬の活用が進んでいます。診療所の91.8%が漢方薬を処方しているというデータもあり、さらに科学的データによる報告で、従来の薬から漢方薬に処方変更する医師も多く、今後ますます医療現場での活用が期待されています。
02漢方にはどんな効き目や特徴がある?
2-1体質改善が目的の場合
西洋医学と同じように、漢方薬にも得意な分野、不得意な分野があります。漢方薬が効果を発揮する分野として、体質改善が挙げられます。たとえば、胃腸が弱い、疲れやすい、すぐに風邪をひいてしまう、アレルギー体質、肌が荒れやすいといった場合には、漢方薬が効果を発揮します。と言うのも、西洋医学が症状に対して治療を行うのに対して、漢方は人間の身体が本来持っている回復能力や治癒能力が引き出しやすいように身体の状態を整えていくもの。そのため、身体の状態を改善する分野には最適です。
もちろん、体質改善は時間がかかるもので、漢方薬を飲んだからといってすぐに効果が目に見えるようになるわけではありませんが、長期間の服用によって体質の改善が期待できます。
2-2困ったときに使いたい
漢方薬の中には、困ったときに使いたい家庭の常備薬としての役割を果たすものもあります。たとえば、疲れや二日酔いなど、栄養の不足などが原因となることが多い不調の場合には、生薬を配合した薬などが効果を発揮します。
こういった漢方の場合、西洋医学の薬とは異なり、眠気などが出にくいことも特徴のひとつ。そのため、仕事などの都合に配慮して薬を我慢する必要もありません。
これら疲れや二日酔いの漢方薬の場合、症状が軽いうちに服用する、疲れを自覚する前に使用するといった方法が効果的です。
03即効性のある漢方もある
3-1初期の風邪などには即効性を発揮する漢方もある
即効性のある漢方として、よく使用されるのが初期の風邪に対する漢方薬です。風邪は鼻腔や咽頭などにウイルスが感染して起きるもので、せきや痰、のどの痛み、鼻水、発熱、頭痛など症状は様々です。
そのため西洋医学の場合、解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬、ビタミン剤など様々な症状に対抗するための薬が処方されます。
一方、漢方薬では、「風邪脳場合には身体を温めることで身体の治癒力を引き出し、回復を早める」という考え方が用いられます。
また、その人の体調や体質によっても風邪への対処が変わって来ることもあります。
そのため、風邪を引いた人の体力などの状況によっては漢方は即効性を発揮することもあります。
3-2急性病(風邪)に使われている漢方薬
風邪は感染して発症してからも次々にと症状が変わる病気で、「急性病」とも呼ばれることがあります。漢方では、同じ風邪でもそれぞれの症状に対して異なる薬が用いられます。
「桂枝湯」は継承の風邪に用いられる漢方で、体力のない人に向いた薬です。反対に「麻黄湯」は体力が十分ある人のための薬。強力に発汗を促し、高熱や強い筋肉痛など、症状の重い風邪の初期に用いられることがあります。
風邪に効く漢方というと「葛根湯」が一般的ですが、葛根湯は体力が比較的あり、鼻かぜなどの軽めの風邪に用いられるもの。悪寒がある、強い倦怠感があるという場合には異なる薬を服用したほうが効果があります。
このように、症状や体力などによって、異なる薬を服用することも漢方薬の特徴と言えるでしょう。
04漢方選びのポイント
4-1他人が効いたから自分に効くとは限らない
すでに説明したように、漢方は病気を治癒するというよりも、その人の体調や体質、現れている症状を組み合わせて、身体の回復力や治癒力を引き出すお手伝いをしてくれる薬です。
人の体調や体質はそれぞれ異なるものなので、同じ症状の他人に聞いたからといって、自分にも効くとは限りません。
漢方が効かないという場合には、その薬が自分の体質や体調に合っていないことも考えられます。
4-2養生が悪いと効き目が薄れることも
漢方の中では「養生」という考え方が大切にされています。養生とは簡単に言えば、身体をいたわるということ。たとえば、冷え性で悩んでいる人が、暑いからと言って冷たいものばかり飲んでいる場合、それは身体を大切にしていない、つまり「養生が悪い」ということになります。養生が悪いと、どんなに良い薬を飲んでも症状が改善されません。
4-3漢方に詳しい医師などに自分の体質に合った漢方薬を選んでもらう
漢方を飲むときには、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。ネットなどでは、簡単に自分の体質を知ることができるチャートなどがありますが、実は自分の体質を見極めるのはかなり難しいもの。
そのため、本当に効果がある漢方を選びたいというときには、漢方にくわしい医師などの診察を受けて、自分の体質に合った漢方薬を選んでもらうことが必要になります。